さて、フランスにあれほど多くの物事の乱れをもたらした8月8日の新内閣の誕生は、レイモンの物心両面の安泰に激しい一撃を加えることとなった。ラミエール氏は、一日で勝利した盲目的な虚栄心の持ち主たちの属する階級ではなかった。
彼は政治を自分のすべての思想の中心に置き、自分の将来のすべての夢のなかでも基盤をなすものとしていた。国王が巧みに譲歩する道を選択することによって、貴族の家柄の存続を確かなものにしている均衡が今後もまだ長いこと維持されることになるだろう。そのようなことを彼は密かに期待していたのだった。ところが、ポリニャック公の出現が彼の期待を絵空事に終わらせてしまった。
レイモンは、ゆく末を遙か先まで見通していた。彼は新たに訪れた世界で顔が売れすぎていたために、政府の一時的な勝利に対して警戒心を抱くことがなかった。彼は自分の運命すべてが王政の運命とともに揺らいでいること、そして自分の財産が、恐らく自分の命までがもはや一本のか細い糸につながっているにすぎないことを理解した。