電脳筆写『 心超臨界 』

嫉妬のナイフは詳細を極めて研ぎ澄まされる
( ルース・レンデル )

東大憲法学の「呪縛」を解こう――西修さん

2019-11-04 | 04-歴史・文化・社会
 「東京裁判史観(自虐史観)を廃して本来の日本を取り戻そう!」
    そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現します。
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《 いま注目の論点 》
フクシマ50が描く「総理」像――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 R01(2019).10.31 】
対中政策 日米に相違――古森義久・ワシントン駐在客員特派員
【「緯度 経度」産経新聞 R01(2019).10.29 】
基本的人権と義務は表裏一体だ――福井義高・青山学院大学教授
【「正論」産経新聞 R01(2019).10.25 】
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東大憲法学の「呪縛」を解こう――西修・駒澤大学名誉教授
【「正論」産経新聞 R01(2019).11.04 】

先月31日、衆院憲法審査会で、9月の同会委員による欧州視察に関する報告が行われる予定だったが、結局、開かれなかった。

憲法審査会の設置が決まってから12年余、実質審議がほとんどなされていない。

憲法改正は、主権を有する国民がみずからの意思を表明することができる最大の場である。その機会を妨げている政党、議員は、果たして、「国民の厳粛な神託」(憲法前文)に応えているといえるのか。

◆国際社会の常識と隔たる

ところで、このたび私は本欄および雑誌「正論」に寄稿してきた24点と、新たに「世界の最新の憲法動向」を加え、『憲法の正論』(産経新聞出版)を上梓(じょうし)した。

編集の方でつけた帯には、「東大憲法学の欺瞞(ぎまん)がよくわかる1冊」という文言がある。

生来、いたっておとなしい性格の私(?)としては、躊躇(ちゅうちょ)するところであるが、架空の「8月革命説」をもちだし、現行憲法の有効性を説明した東大法学部教授、宮澤俊義氏を源流とする東大憲法学に違和感をもってきたことは事実である。

宮澤氏は、天皇が統治権の主要な部分を有していないので、わが国は共和制になったと断じる。そうだろうか。実質的な統治権をもたない英国、ベルギー、オランダなど数多(あまた)の立憲君主国があり、「日本国および日本国民統合の象徴」たる天皇を擁する日本国は立憲君主国に属するというのが、国際社会の常識的な見方だ。

宮澤氏の後を継いだ芦部信義氏は、その著『憲法』で、8月革命説の妥当性を唱えている。

芦部氏と同時期に憲法講座を担当した小林直樹氏は、9条について明言している。「非武装の平和主義をとることこそ、最も合理的かつ真の国家の安全にかなう方策という見方が生じてくるゆえんである」(『憲法講義 上』)

東北大学教授から着任した樋口陽一氏は、「個人」に最大限の比重をおく、婚姻の自由を定めている24条につき、「『個人の尊厳』をつきつめてゆくと、憲法24条は、(中略)家族解体の論理を含意したものとして意味づけられるだろう」(『国法学・人権原論』)と記述する。このような家族解体を含意する24条を改正すべきかを問わず、むしろ強く支持している。

◆国民が発言し実のある議論を

芦部氏の直弟子の長谷部恭男氏(現在は早大教授)は、憲法論議について、近年、盛んに次のごとく述べている。「国民には、法律家共同体のコンセンサスを受け入れるか受け入れないか、二者択一してもらうしかないのです」(朝日新聞、平成27年11月29日付など)。憲法は他の法律と違い、唯一、国民が直接かかわることのできる最高法規である。国民の誰もが発言してこそ、実のある議論になる。法律の専門家集団のみが発言権をもつのだという言述は、実に傲岸不遜(ごうがんふそん)といわなければならない。

現職の石川健治氏の好みの言葉は、「革命」「クーデター」である。平成25年5月3日付の朝日新聞に、「96条改正という『革命』」の見出しの下に、自民党が憲法改正案の発議要件を現行の「総議員の3分の2」から「総議員の過半数」にしたことに関し、「96条を改正して、国会のハードルを通常の立法と同様の単純多数決に下げてしまおう、という議論が、時の内閣総理大臣によって公言され(後略)」と記された。

通常の立法は「出席議員の過半数」であって、「総議員の過半数」ではない。このような中学生でもわかる間違いが堂々と朝日新聞に載ったことに、私は「戦慄(せんりつ)」を覚えた。

◆憲法の立ち位置を広く見る

私がこのような東大法学部の憲法学から距離を保ってきた必然性をご理解いただけるであろう。

私は、学説、判例の分析とともに、日本国憲法の成立経緯と比較憲法の研究に力を注いできた。前者との関連で、GHQ(連合国軍総司令部)において実際に「マッカーサー草案」を起草した8人を含む、日米45人の関係者からの証言を得たことは、成立経緯の事実を知ることに大きな糧(かて)になった。また比較憲法の研究を通じて、憲法の立ち位置を広く見る修練を積むことができた。

ここに、調査の結果、新たなデータをお伝えしておきたい。

(1)世界の189の成典化憲法中、平和条項を有している国家は161カ国(85.2%)。
(2)1990年以降に制定された104カ国の新憲法中、(1)環境の権利・保護99カ国(95.2%)(2)家族の保護(形成を含む)87カ国(83.7%)(3)政党91カ国(87.5%)(4)平和102カ国(98.1%)(5)国家緊急事態対処104カ国(100%)―など。

平和条項と国家緊急事態対処条項をセットで設定することが、世界の憲法常識である。なお証拠として、各国憲法がそれぞれの項目について定めている根拠条文をすべて拙著に表示した。

今後の憲法論議に少しでも貢献できれば、幸いである。

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