電脳筆写『 心超臨界 』

嫉妬のナイフは詳細を極めて研ぎ澄まされる
( ルース・レンデル )

不都合な真実 歴史編 《 宮澤俊義の「8月革命説」は己の保身が生んだ暴論――江崎道朗 》

2024-08-30 | 04-歴史・文化・社会
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おそらくは単に、自分の保身のために、無理やり編み出した学説を、小林直樹氏や芦部信喜氏などが引き継ぎ、さらに孫弟子の長谷部恭男氏などが後生大事にお護りしていく。そして、いまだに東大法学部などの法学部生がしがみ付いているのです。司法試験もそういう考えを受け入れないと拙い。これは本当に滑稽です。70年前におそらく小心者の一学者が自分の保身のために、無理やり編み出した説を学生たちはこれが、正しい、真理だと思っているわけですからね。


◆宮澤俊義の「8月革命説」は己の保身が生んだ暴論

『危うい国・日本』
( 百田尚樹&江崎道朗、ワック (2020/4/26)、p85 )

【百田】 それともう一つ、申し上げたいことがある。それは日本の文系のアカデミズムには大きな欠陥があるということです。端的に言うと、恩師や先輩の学説を批判できない点です。これが、酷い。学問は常に新しい学説が発表され、また新しい資料が出たら、それに基づいて、これまでになかった新たな考え方が浮上する。これとともに、これまでにあった学説は当然、修正・訂正されていいわけです。

その積み重ねが学問なのですが、日本の大学は恩師である教授の学説をそのまま弟子が踏襲する間違いを指摘したら、教授から後任や他の大学のポストを推薦してもらえませんから。覚えが悪くなると、ずっとスタッフ(助手・助教)どまりか、さらには他の大学に出されてしまう恐れがある。だから、日本の文系の学問で一度、「定説」が出来上がってしまうとそれをなかなか覆せません。歴史学や国文学などもそうですが、一番厄介なのが憲法・法律の世界です。

【江崎】 その典型が、東大法学部を支配している「宮澤憲法学」。これが劣化して今、日本の憲法学は目も当てられませんね。

【百田】 彼が唱えた「8月革命説」が未だに生きているのが不思議です。

【江崎】 これは昭和20年8月14日、日本政府はポツダム宣言を受諾した。この中には、「日本国民の自由な意思にしたがって平和主義的な政府が樹立されたとき、占領軍は撤収する」云々との条項が含まれているから、日本政府がこの条項を容認したということは、明治憲法下での「天皇主権」を放棄して、「国民主権」を受け入れたということを意味する。従って、これは「革命」であり、のちに制定されることになった日本国憲法は、この「革命」によって新たに主権者となった国民によって制定されたものだという学説です。

この「8月革命説」によって、マッカーサー・占領軍が憲法を日本に押しつけたという事実が隠蔽されることになり、占領軍にとってはきわめて都合のいい「学説」です。通常、占領下に於ける憲法の変更は国際法違反ですが、これまた「革命」ということで容認されることにもなる。

【百田】 宮澤氏は敗戦後しばらくの間は、大学の講義でも憲法改正について、そんな革命説云々の主張はしていなかった。新憲法制定は不要で、明治憲法の適正な運用をすればそれでいいと主張していたといいます。ところが、ある日突然、「8月革命説」を主張し180度、意見を翻した。いま、大学で、日本国憲法の歴史を学ぶ人たちはそこから学びます。ただ、これは私の想像ですが、宮澤俊義氏が突然、学説をひっくり返したのは自分の保身のためだと思います。

というのも、戦後すぐに、GHQによる公職追放がありましたよね。大学や師範学校の先生や政治家や官僚など約20万人が追放されます。当時、GHQの追放というのは非常に厳しいものがありまして、一度、追放されてしまうと普通の役所や企業に再就職できません。それで生活が出来なくなる。追放されたら商売か、農業をするか、あるいは野垂れ死ぬしかない。そして家族全員が路頭に迷いこむことになります。

【江崎】 宮澤氏は大東亜戦争(太平洋戦争)が始まった時には、「とうとうやりましたな」「この日くらい全国民を緊張させ、感激させ、そしてまた歓喜させた日はなかろう」と戦時中公言もしていましたから、追放になる可能性は十分あった。

【百田】 そういう厳しい現実を目の当たりにして、宮澤はまずいと思ったに違いありません。新憲法は制定する必要はない、明治憲法の適正運用で十分だという考えをそのまま主張していたら、俺のクビが危ないと思い始めたのではなかったか。そこで、何とか、自分だけは助かりたい。それで8月革命説を思いついたというわけですよ。

これは、あくまでも私の想像ですよ。丸山真男さんがこの革命説云々のアイデアを授けたという説もありますが、丸山といえば、戦後の輝く進歩的知識人の代表です。こんなふたりの神様が考え出した「8月革命説」は永遠に不滅ですということになるのでしょう。

おそらくは単に、自分の保身のために、無理やり編み出した学説を、小林直樹氏や芦部信喜氏などが引き継ぎ、さらに孫弟子の長谷部恭男氏などが後生大事にお護りしていく。そして、いまだに東大法学部などの法学部生がしがみ付いているのです。司法試験もそういう考えを受け入れないと拙い。これは本当に滑稽です。70年前におそらく小心者の一学者が自分の保身のために、無理やり編み出した説を学生たちはこれが、正しい、真理だと思っているわけですからね。

【江崎】 宮澤氏は戦前、東大の憲法学教授のときに、大政翼賛会を擁護しました。大日本帝国憲法は議会制民主主義を定めおり、その議会制民主主義を事実上否定する大政翼賛会は本来「違憲」なのです。実際、違憲であるとの訴訟が起こされ裁判所で違憲と判じた例もあります(清水聡氏『気骨の判決 東條英機と闘った裁判官』新潮新書参照)。

にもかかわらず、当時「合憲だ」と宮澤氏は言い張った。大政翼賛会を含めた戦前日本におけるある種の全体主義を正当化する理論を作ったのが、宮澤さんだったのです。

それに対して京都大学の佐々木惣一(日本の法学者で憲法学と行政法を専門にしていた)博士や、宮澤氏の恩師に当たる美濃部達吉博士は、大日本帝国憲法の立場から、議会制民主主義を損なう大政翼賛会は違憲の疑いがあると言って反対していました。要するに、戦前において言論の自由と議会制民主主義を日本で運用しようと一生懸命に努力した師匠たちを裏切って当時の国家権力にすり寄った男が宮澤さんなのです。


◆関連ブログ
東大憲法学の「呪縛」を解こう――西修さん
生来、いたっておとなしい性格の私(?)としては、躊躇(ちゅうちょ)するところであるが、架空の「8月革命説」をもちだし、現行憲法の有効性を説明した東大法学部教授、宮澤俊義氏を源流とする東大憲法学に違和感をもってきたことは事実である。
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