動物の葬儀屋さんに電話すると、白い箱を持って迎えに来てくれた。チビをそこに寝かせ、ありったけの花を詰めていると、初老の葬儀屋さんが尋ねる。「年はいくつだったんですか」「23ですよ」「ああ、よほど可愛がらなければ、そんなに長生きしませんよ、ネコというものは」と言ってくれる。その一言で、どれだけ慰められたか。 . . . 本文を読む
日本で初めての駅伝は、今から92年前、京都の三条大橋でスタートした。1917年(大正6年)の4月27日、第1回駅伝である。「遷都記念東海道五十三次駅伝徒歩競走」、めざすゴールは東京上野の不忍池。上野では当時、東京遷都五十周年記念博覧会が開催されており、この博覧会に合わせて行われた。 . . . 本文を読む
英国の経済学者、リカードの中立命題に従えば、国債を増発して経済対策を実施しても、消費者は将来の増税を予期して消費を減らすので期待したほどの景気浮揚効果は得られない。経済対策は不要だ、ということではない。強調したいのは、増税を明確に掲げなくても消費者は将来の増税を予想して消費を控えるという点だ。 . . . 本文を読む
「父は本当は強く国を愛していたと思います。でも時の流れに身を任すことが危険だと話していました。言論の自由を奪われ、あれよあれよという間に戦争に突入していった怖さを痛いほど味わったからです」城山は国の紫綬褒章を辞退した。裏切られた国からの勲章はもらうべきではないと考えたのだろう。 . . . 本文を読む
オオカミは大神、さらに古くは「大口の真神」という。大口はむろん耳まで裂けている大きな口。恐れられているけれど、むしろ鹿や猪など畑の作物を荒らす獣を退治してくれるありがたい存在だった。時には窮地に陥った者にマヒゲを授けて救ってくれる神の使いなのであった。 . . . 本文を読む
神戸大の川井浩史教授らのグループがニュージーランド内14カ所でワカメ75株を採取し、日本や韓国のワカメとDNAを比べたところ、首都ウェリントンなど北島では韓国、南島では日本海や瀬戸内海と同じタイプだった。研究グループは「北島には韓国のトロール船が数多く出入りしており、南島は農産物や木材で日本と取引が多い。両国の船が運んだ疑いが極めて高い」と話している。 . . . 本文を読む
実際には、価値は機能とスペックだけでは決まらない。顧客が主観的に意味づける意味的価値が重要なのだ。機能・スペックを超えて顧客に喜んでもらえる価値を新たに創出して提案するのである。意味的価値が重要なのは消費財だけではない。半導体でも台湾のメディアテック社は顧客企業の使いやすさを追求して、機能以上の大きな価値をつくりだしている。 . . . 本文を読む
自分はこれまで、息子に向かって皆と同じように学校に行かなきゃ駄目、働かなきゃ駄目と言ってきました。しかし、たとえ学校に行かなくても病気もせずに元気でいてくれる。それだけでもいいじゃないか。『どうでもええ』というのが本当の解決の道だと、いま心から思えます。 . . . 本文を読む
遠いアジアの国の資料修復劇。日本には何の影響もないかもしれない。が、土地台帳も日々の暮らしから生まれた文化の一つ。「文化を残す」と言うのは簡単だが、「同じ事が日本でできただろうか」。自ら定めた領域に安住し殻を打ち破れない今の日本。この国を覆うのはやはり場のない閉塞(へいそく)感だ。 . . . 本文を読む
村上和雄・筑波大名誉教授の近著『アホは神の望み』(サンマーク出版)を読んだ。先生のご著書は必ず読むようにしているが、そのたびに勇気づけられる気がする。講演がまたすばらしい。世界に冠たる高名な遺伝子学者でありながら、人柄を表す柔和な笑顔と人情味あふれる話しぶりには拝聴するたびごとに感動を覚える。 . . . 本文を読む
それゆえ、あなたがたに言っておく。命のために何を食べ、何を飲もうか、また体のために何を着ようかと、思い煩(わずら)ってはならない。命は食べ物にまさり、体は着る物にまさっているではないか。 . . . 本文を読む
すべての生物には、その発達プロセスにおいて、「脆弱性の窓」があると考えられている。臓器や組織における細胞分化や発達の途上、あるいは神経系や免疫系などのシステムの構築途上にあるとき、特に環境からのストレスや侵襲、干渉をことさらうけやすい、ある特別なクリティカル・ピリオド(=決定的な期間)が生物にはある、と考えられている。このバルネラブル(vulnerable)な期間を脆弱性の窓と呼ぶ。 . . . 本文を読む
イギリスを始めヨーロッパでは、従来より羊、牛、豚など家畜から食用肉を取り去った残りの部分の廃物やくず肉を集めて、加熱・脱脂し、これを乾燥させ粉末としたものを、タンパク質を含む家畜飼料として、“リサイクル”することが行われていた。この廃物再生の工程をレンダリングと呼び、できた産物は肉骨粉と呼ばれた。 . . . 本文を読む
日本では、真剣にスポーツに取り組む人を「体育会系」と呼び、苦行僧のごとく厳しい修業を行うというイメージがある。しかし僕の答えは反対だ。苦しく嫌だと思うと人は無意識に考えることを止めてしまい、スポーツに求められる柔軟な発想や豊かな創造力を発揮できなくなる。何よりも、楽しくなくてはスポーツの意義自体が失われてしまう。
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リコーを複写機用ランプの大の得意先としていたウシオ電機も窮地に立たされた。しかし、つぶれたら会社を清算して、ほかの道に転じようと覚悟したら、迷いが消えた。「うちは最後まで製品を納めます」と直接伝えると、市村社長は感激のあまり涙を流した。それからあっという間にリコーは奇跡的によみがえり、ウシオ電機も急成長することができた。 . . . 本文を読む