敵を征服する者よりも自己の欲望を征服する者のほうが勇気がある
なぜなら、最も困難な勝利は自己に勝利することなのだから
(アリストテレス)
I count him braver who conquers his desires than him
who conquers his enemies; for the hardest victory is
the victory over self.
( Aristotle, Greek philosopher, B.C. 384-322 ) . . . 本文を読む
メートル法は今では日本をも律している。この「律」に従わねば法律で罰せられる。法律で罰するという規範は日本国政府がつくったものだから、これは改廃しうる。またメートル法は不便だからという理由でこの規範を廃棄することもできる。しかし、このメートル法という規範を、「情況に対応して変化させる」ことはできない。 . . . 本文を読む
肉体の疲労は自分の精神ひとつでどうにもなる。自分の弱い心を鍛えるのに、登山は最もいい方法だ。歯を食いしばり、困難に耐え、頑張れ頑張れといい聞かせて登ることが、自分の弱い心を鍛え、丈夫な体を作ってくれる――。後に山に傾倒していったのも、この心身の鍛錬への発見がひとつ大きな理由になっている。 . . . 本文を読む
アメリカのオークリッジ研究所のワインバーグ博士らが提唱している溶融塩炉は、燃料それ自体が液体である液体燃料を使用するので、扱いが容易であるという利点をもっている。私は、将来きっと、固体燃料を使う原子炉からこの液体燃料を使う溶融塩炉にとって代わると思っている。 . . . 本文を読む
笑われるかもしれませんが、話のポイントは明確です。人が買うのは、自分の利益であって商品の特色ではありません。会話を効果的に進めるには、相手のためになることを話すことができなければなりません。そうすれば、相手がこちらの要求に応えてくれるのです。 . . . 本文を読む
東北大地震で何万人もの国民の生命が失われ、何千兆円もの国民の財産が消え、エネルギー供給が何十パーセントも減少するとなれば、それは国家のエマージェンシー(非常の緊急事態)にほかなりません。諸外国にあっては、こういう場合、ほぼかならず非常事態法が中央政府によって施行されます。それにもとづいて、人間と物質と情報の流れが規制されるわけです。 . . . 本文を読む
デモクラティストには指導者を批判、非難する資格はありません。自分らの顔相や口振りが指導者の言動に反映されているだけのこと、と人々が知るのはいつのことでしょう。民主主義の政治家は、民衆の奥深い感情や根強い常識のリプリゼンタティヴ(代表者)ではなく、束の間の欲望や思いつきの意見のエージェント(代理人)になってしまったのです。 . . . 本文を読む
いったん、今回の危機は東電のせいだという情報が与えられてしまうと、たとえその情報と矛盾のある情報に接しても避けてしまう。それは今回、「風評被害」を説明するものとしては役に立つだろうし、現象と心理を結び付けるのに有効かもしれないが、そこに潜む現代日本人のあり方を解き明かしてはくれない。 . . . 本文を読む
会社など、組織では「人材」「人財」という言葉が用いられ、才能があり、大いなる働きをする人のことを意味します。これに対して「人物」という言葉もあります。「あの人は人物だ」という時、それは単に才能のある人をいうのではありません。才能と徳を併(あわ)せ持った人、才能もあるけれども徳のほうが勝っている人を指します。 . . . 本文を読む
講談社を創った野間清治(のませいじ)氏にもこういう言葉がある。
「万事万象、わが一心に存する。わが一心によってわが境遇ができるのだ。すべては私の影だ。心が歪(ゆが)めば世の中も歪むのだ。わが一心によって、世の中がよくも悪くも、楽しくも辛くもなるのだ」 . . . 本文を読む
およそ、むき出しの一回性に人間の魂は耐えられるものではない。本当に一回しか起こらない、その出来事そのものは禍々(まがまが)しく、生々しく、私たちの生にそのまま接合するには毒に満ち過ぎている。そもそも、私たちの言語そのものが一回性の禍々しさを丸めさせる精神のテクノロジーである。 . . . 本文を読む
あんたは知らないだろうが、フランスのあの聡明(そうめい)で、皮肉な公爵(こうしゃく)が言った言葉がある、いいかね、二人の恋人同士では、必ず愛するのは一方だけで、他の一人は、ただ愛されてやっているだけだとね。大抵の人間が運命と諦(あきら)めなければならない、これは悲しい事実なのだ。だがごく時稀(ときたま)だが、あるものだ。 . . . 本文を読む
もともと、私たちが意識的にコントロールできることなど、限られている。ほとんどの脳内過程は、意識的コントロールとは無縁の、自己組織化、形態形成のプロセスとして起こる。『本居宣長』のような大著を執筆している時の小林秀雄の脳内の物質過程やその身体の動きも、一粒の植物の種が土に落ち、芽が出てやがて成長して花を咲かせるまでの自然の過程と本質的には同型である。 . . . 本文を読む
バッハの音楽を聴いた時の感動を支える脳のメカニズムが、薬物依存症のような短絡的な快感の脳機構と異なるのならば、話はやさしい。片方を高尚と呼び、もう一方を低俗だと決め付ければ良いだけの話である。両者に多くの共通点があり、恐らくは同じであると言っても良いくらいであるという事実を付き付けられた時、私たちは面食らう。 . . . 本文を読む