『旧約聖書』には「ゴッド」が天地を創造する場面が書かれていますが、『古事記』には天地がどのように造られたか書かれていません。『古事記』は、天地が初めて発(あらわ)れた時に、最初の神が成ったことを記しているだけです。これは混沌から陰陽が分かれて天と地になったことを記す『日本書紀』とも異なります。『古事記』には宇宙空間がどのように創られたかは一切記されていません。 . . . 本文を読む
実際、リベラル陣営は、「自業自得」、あるいは「自縄自縛(じじょうじばく)」の状況に陥っていました。なぜなら、彼らは、これまで一貫して自分たちの正しさだけを証明しようと、「ポリティカル・コレクトネス」(PC)を主張してきたからです。「ポリティカル・コレクトネス」とは、「差別や偏見」に基づいた表現を「政治的に公正」なものに是正する考え方のことです。主に人種や性別、性的志向、身体障害に関わる認識から「差別」をなくすことを指します。 . . . 本文を読む
「至道無難」は、達磨の禅を伝えた三祖・僧璨鑑智(そうさんかんち)の言葉で、「至道は無難なり、ただ揀択(けんじゃく)を嫌う」とあります。至道とは、道に至ること、つまり仏の道(真理)に至るのは、無難、そう難しいことではないよというのです。「揀択を嫌う」の揀択は、選り好みをすること。あれこれ選り好みをさえしなければ、悟りの道に至ることは決して難しいことではない。というのです。 . . . 本文を読む
長大な時代を経過するに任せ、悠々と狩猟・漁撈と半農耕の時代をつづけた縄文時代のこの列島には、記録された歴史はなかったとしても、土器や住居趾が示すように、ごく大雑把な意味で共通している生活形式――大陸とは別種の――は多分あったであろう。しかし共同体は恐らくいくつもあり、言語も必ずしもひとつだったとは思えない。単純な共通性ではないにせよ、早くも縄文時代前期中頃――今から5千年前――に栗の栽培など一部に農耕が始まっていたなど定説を覆す諸事実が、…… . . . 本文を読む
現実に、比較的最近、1999年に能登半島沖不審船事件というものがありました。海上保安庁の船が不審船を石川県の沖で見つけて追跡した。ところが、不審船が非常に速かったので、自衛隊が引き継いで追跡した。この時、戦後初めて海上警備行動として海上自衛隊の護衛艦2隻が動いた。止まれ、止まれと言って停船を求めるんですが、当然、相手は止まらない。 . . . 本文を読む
次に「天之御中主神」という神名に注目してください。「天」とは宇宙のことで、「主」とは留まって動かない者、司(つかさど)る者のことです。ですから、この神様は「宇宙の中央にいて支配する神」ということになります。天之御中主神は、『古事記』にはその後一度も登場なさらないので、その姿、言葉、行動などは何一つ知られていません。神秘に包まれた神だといえます。 . . . 本文を読む
日本が中国に対する侮辱的ともいうべき音の無視と語順の変更を介しての訓読みによる表現内容の効果的な把握をかくも絶妙に成功させた理由は、ひとつには、地理的条件の幸運があった。二つめには、907年の唐の崩壊によって、事実中国大陸からのダイレクトな文化的影響力jが衰え、日本はその分だけ自由になり、先述の長谷川氏の「視覚情報システム」として中国語を対物的に扱う精神的余裕が生じたためである。そうなるにつれて、安心して漢語の混入率のパーセンテージが少しずつ上がっていく…… . . . 本文を読む
天地(あめつち)が初めて発(あらわ)れた時、高天原(たかまがはら)に成ったのは天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)でした。間もなく高御産巣日神(たかみむすひのかみ)、続けて神産巣日神(かむむすひのかみ)が成りました。この三柱(みはしら)の神は、いずれも独神(ひとりがみ)で、すぐに御身(みみ)をお隠しになりました。独神とは男女の区別が無い神で、男神(おがみ)と女神(めがみ)の両方の性質をお備えになった神なのです。 . . . 本文を読む
「無一物中無尽蔵」と、「有花有月有桜台(はなありつきありろうたいあり)」と対句になっています。「無一物」とは、何もなくてカラッポだということではなく、何物にもとらわれない心をいいます。あらゆる煩悩や執着を離れた心には、すべてのものがありのままに見える。万物の真の姿を見ることができる。それが、無尽蔵ということです。花や月や楼閣が、そのまま花や月や楼閣であるということ、それがえがたいのです。 . . . 本文を読む
古代の日本は何度も言いたいが、アジアの国でできないきわめて特異なことをやってのけた、たったひとつの国である。それは中国の文字を日本語読みし、日本語そのものはまったく変えない。中国語として読むのではなくて日本語としてこれを読み。それでいながらしかもなお、内容豊かな中国古代の古典の世界や宗教や法律の読解をどこまでも維持する。
これは決然たる意志であった。 . . . 本文を読む