土着スパイ、敵の公務員の内通者、ダブルスパイ、消耗スパイ、機動スパイである。この五種類のスパイたちを、いっせいに組織で使っていながら、敵はもちろん味方にも悟られない。これを神業という。このスパイ組織のリーダー(上将の下位のポスト)こそ君主の宝というべき存在だ。 . . . 本文を読む
日本がたちまち多くの兵隊を送り込んだことは清には想定外だった。そこで清が出してきたのが鎮圧後の速やかな同時撤兵の案である。これに対して陸奥は、「朝鮮の内政を改革しない以上、何度でもこういう問題は起きる。内政改革が終われば撤兵しよう」と断固つっぱねるのである。 . . . 本文を読む
戦前、会社員は月給取りと呼ばれ、少数派だった。戦後、源泉徴収サラリーマンがどんどん増え、高度経済成長以降、サラリーマンだらけになって、所得税は確実に捕捉された。いっぽう納税者意識は確実に後退し、にもかかわらず選挙に行き投票すれば民主主義、と薄っぺらなイデオロギーが行き渡った。 . . . 本文を読む
慶応4(1868)年8月23日、容保ら5千の兵が籠る鶴ヶ城は約3万の新政府軍に取り囲まれた。「幕末のジャンヌダルク」こと、山本八重が銃を取って戦ったのはこの籠城戦である。白虎隊の少年兵士の悲劇もあり、城は9月22日に落ちた。 . . . 本文を読む
光秀という男の情熱はそれだけを求めているのではない。武士としては史書や文学書を読みすぎている男は、たとえば諸葛孔明(しょかつこうめい)のような、たとえば文天祥(ぶんてんしょう)のような、そういう生涯(しょうがい)を欲した。かれらは王室の復興や防衛にすべての情熱をそそぎこみ、その生涯そのものが光芒燦然(こうぼうさんぜん)たる一編の詩と化している。 . . . 本文を読む
惺窩は学者だから、日本よりも朝鮮を、朝鮮よりも明(みん)国をわが学問の祖国としていた。だからこそ、朝鮮の俘虜(ふりょ)で学者だった姜(きょうこう)に近づき、かれに、――日本の庶民はいま、無用の外征のために苦しんでいる。いまもし朝鮮が明と結んで日本に逆に上陸すれば、民をよろこんでこれをむかえ、またたくまに奥州白河まで征服できるだろう。といったほどの男である。 . . . 本文を読む
同等の人に対する礼節の中で次に考えるべきことは、敵に対する礼節である。敵と言えば、「匹敵」などの言葉もあるように、同等の者の間に起こる関係である。したがって、争うからには、同等の事情のもとに争わねばならない。人の虚に乗じ、人の弱点を狙うのは卑怯のいたりである。 . . . 本文を読む
ええか、『さびしい』いう言葉はじゃの、『寒しい』から来た言葉じゃ。『さむしい』が『さびしい』『さみしい』に変わっていったんじゃ。じゃけん、背中が寒うないおまえは、さびしゅうない。のう、おまえにはお母ちゃんがおらん代わりに、背中を温(ぬく)めてくれる者がぎょうさんおるんじゃ、それを忘れるなや、のう、アキラ…… . . . 本文を読む
黒澤明の著書『蝦蟇(がま)の油 自伝のようなもの』(岩波書店)によれば、黒澤が三船敏郎を発掘した時の話は非常にエキサイティングだ。映画『酔いどれ天使』の製作のため、東宝がニュー・フェイスを募集した。そのときの審査の様子が書かれている。これも、眼力が身体の持つエネルギーを感知することで発揮された例だ。 . . . 本文を読む
このダビデと、わたしたちは似た者なのである。部下の妻を盗み、その部下を故意に戦死させたことは、それほどの罪と思わず、大金持が、貧しい男の子羊を奪ったことを、死刑に値するとまで怒る。これがわたしたち人間の罪に対する感覚なのであろう。それでもダビデは、預言者に直言されてふるえあがった。 . . . 本文を読む
私はあちこちで言われている憲法改正という方向には必ずしも与(くみ)しません。いまの憲法を改正するのではなく、まず新憲法案をつくってからいまの憲法は破棄し、1分間でもよいから一度明治憲法に立ち返った後に新しい憲法を発布すべきだと考えるからです。なぜなら、いま憲法といわれているものは憲法ではなく、占領憲法というのが正確だからです。 . . . 本文を読む
1955年(昭和30年)の総選挙の結果、日本は二大政党の様相を呈することになったのだが、その経緯は次のようなものであった。選挙では、第一党が民主党、第二党が自由党、第三党が左派社会党、第四党が右派社会党であった。左右の社会党が組めば社会党が第二党となる。すると第一党と第二党の差は僅少になる。そしてこの年の10月に右派と左派の社会党が合同して、日本社会党が結成されたのである。 . . . 本文を読む
自然とは、「意識的につくらなかった」ということを意味します。私たちは、意識して生まれてきたわけではありません。自然に生まれた。そして、嫌(いや)だと思っても日を追うごとに老(ふ)け、最後には病気で死ぬ。これらは自分たちの意識となんら関係がないところで起こる。これは、当たり前のことです。 . . . 本文を読む
アメリカでは2001年に始まり何度か延長を繰り返してきた「ブッシュ減税」が2012年末で期限切れとなり、実質的な増税となる。さらに、2011年にアメリカの債務上限が問題になった際に決められた、2013年1月からの強制的な予算削減(10年間で1兆2000億ドルの歳出削減)により、アメリカは景気が大きく落ち込む可能性が高かったのだ。 . . . 本文を読む