自分がどういう資質、性格、あるいは可能性をもった人間であるかという自分の像は、自分自身ではふつう、ついにわからない。かといって他人にきいてもわかるはずのないことであったが、高杉は、自分像というものをほとんど芸術的なばかりのみごとさで、松陰によってとりだされてしまったのである。 . . . 本文を読む
予期しないことが起こった。ドビュッシーが愛嬢に贈った組曲「子供の領分」には、「象の子守歌」「ちいさな羊飼い」といった題がついているのだが、「雪は踊っている」をぼくが弾きはじめたら、ほんとうに雪が降ってきたのだ。高原とはいえ5月10日である。なんという奇跡。聴衆は、ステージ奥のガラス越しに舞い降りる雪を見ながら「雪は踊っている」を聴いている。なんというぜいたく。 . . . 本文を読む
「愚かで卑俗なのは世間であって私ではない。こうなった責任は私にではなく他人にある」というのは、典型的な心情倫理家のモットーとして、M・ヴェーバーが『職業としての政治』で挙げた言葉だ。かれは、自分がどのような心情で或(あ)る行動を取ったかではなく、それによって生じた結果の責任を痛感する人間――すなわち「責任倫理」によって行動する成熟した人間のみが「政治を天職にできる」と、強い信念に基づいて説いた。 . . . 本文を読む
ロボットは幅1㍉㍍、長さ数㍉―1㌢㍍でシリコン樹脂製。長さによって足の数を6―60本に変えられる。ガの幼虫から取り出した背脈管と呼ばれる筋肉を、シリコン樹脂製の足の根本に取り付けた。背脈管は血液の役割を果たす虫の体液を体中に行き渡らせる心臓のような役割を果たしており、規則正しく拍動する。 . . . 本文を読む
原理的には、パソコンも、昔の黒電話のように、電話線から電気をもらって自立することが可能なのではないか。そして例えば、USBラインがついた小型風車や太陽光パネルを使って、世界中の皆がすこしずつ電話線の中に電気を送り込むことをすれば。無論、安定性の問題はあるだろう。が、地球の半分は常に昼間である。究極の分散型発電とネット内電力。 . . . 本文を読む
沖縄市の中心、パークアベニューから入った通りに「ヒストリート」という、アメリカ統治時代の資料展示室がある。子供たちが遊んだ不発弾のおもちゃ、米軍人軍属が立ち入りできる店の印「A」サイン、1969年に発生した米軍ガス事故の発生とその撤去運動、1970年暮米軍圧政への不満が一挙に爆発したコザ暴動の写真など、戦後の歴史が痛ましい。 . . . 本文を読む
自分の仕事に、自分を取り巻く人々に、自分の目の前のすべてに感謝して一日を過ごしましょう。他のことに気を取られて、目の前のおいしい料理を味わうことを忘れていませんか。いまこの時の大切さを見失っている人がなんと多いことでしょう。いまを大切に生きることです。いま目の前にある大切なものに気づいて、それに感謝して楽しめばいいのです。 . . . 本文を読む
森ら軍医たちは、陸軍における食事改良の試みを徹底して妨害した。陸軍にしても脚気の被害は甚大で、その予防は急務であったから、当然のことながら、海軍の食事改良運動に興味を持った。実際、現場の指揮官や軍医の中には、独自に麦飯を導入しようとした人もいた。ところが頑迷固陋(がんめいころう)にも、こうした試みを軍医局は妨害し、あくまで白米主義を押し通したのである。 . . . 本文を読む
実存主義の哲学によれば、人の「本質」というものは最初から決まっているものではなく、その人がとる行動、決断によって形成されていくものである。そのような人生の厳しさ、愉しみを養老孟司さんに折に触れ教わった。 . . . 本文を読む
ひと言でいえば「農業が産業として成り立っていない」ということであり、その原因・対策については多くの分析・立案がなされている。今、必要なことは、官民あげて農業を産業として成立する対策を実行することである。食料を大切に扱い、ムダを省いて有効に利用することも重要であろう。 . . . 本文を読む
アフリカの事情に詳しい知人からこんな話を聞いた。場所はケニアの内陸部。都市からも拠点村落からも外れた集落。電気、ガス、上下水道などのインフラはもちろんない。でも集落の人々はちゃんと携帯電話やパソコンを持っている。電波は上空の人工衛星から拾えるとしても、バッテリーの充電は一体どうしているのか? . . . 本文を読む
ヴェーバーがフライブルク大学の国民経済学科教授に就任したとき、就任講演においてかれはこう述べた。「人間に関する科学――経済学がそれです――がなによりもまず問題とするのは、経済学・社会的な生活条件によって育てあげられる人間の質だ、という認識であります」 . . . 本文を読む
日本人は統治能力(ガバナビリティー)が高く、簡単に言えばお上に従順な国民と言われる。この国民性と中央集権的な官僚による国家指導が、第二次世界大戦後の急速な復興と経済大国になることが出来た要因のひとつと考える。だが、グローバルでの競争力の内容が変化するのに伴い、日本が経済大国として勝ち残るにはこの体制の変更が求められている。 . . . 本文を読む
自分なりの人生のペース配分を申しますと、生れてから二十歳までが小学生、二十歳から四十歳までが中学生、四十歳から六十歳は高校生、そして六十歳から八十歳までが大学生。八十歳を過ぎたら人生の先生としての始まりと自分なりに思っておりますので、長生きしたいと思っております。 . . . 本文を読む
08.09.28
奇抜な意見であることを恐れてはいけない
今唱えられている世論にしてもどれも始めは奇抜だったのだから
(バートランド・ラッセル)
Do not fear to be eccentric in opinion,
for every opinion now accepted was once eccentric.
( Bertrand Russel, British philosopher, 1872-1970 ) . . . 本文を読む