9月19日は、はじまることと、消えていくことの重なった夜になった。東京国際フォーラムでJAPAN国際コンテンツフェスティバルのオープニングが開催された。同じ夜、同じ時に、すぐ近くの築地本願寺で「山口小夜子さんを送る夜」が催された。9月19日は彼女の誕生日だった。私もその夜、この欄を書き終え、筆を置くことができた。 . . . 本文を読む
白昼夢は医学的に言えば解離状態である。それ自体では精神症状とは言えないが、これが繰り返し生じると病気である。とりわけ、解離時に特定の人格や記憶を持っていると「解離性同一性障害」と呼ばれる疾患になる。いわゆる「多重人格」である。 . . . 本文を読む
地球環境産業技術研究機構(RITE)と日本製紙の研究チームは、乾燥や塩害で植物が枯れ果てた荒廃地でも育つ樹木の育種に着手した。まず製紙原料となるユーカリのうち荒れた土地で生き残った種類の特性を3年かけて解析し、有用な性質を受け継ぐ苗を大量に増やす。 . . . 本文を読む
現代は絵にかぎらず、何ごとも個性的であることをよしとする時代だが、この屏風は互いに貧相な個性を競い合い、売り物にする現代とはまったく異なる時代に名も知らぬ画家によって描かれた。そして、五百年を経た今も晴々とわれわれの前にある。 . . . 本文を読む
源氏物語の野分けの巻「紫苑ことごとに匂う空も香のかをりも……」とあり、仄かな香りの現代の紫苑と、匂いたつ平安時代の紫苑とが、本当に同じ植物なのかという疑問と、紫式部がなぜ、この地味な紫苑と貴族の雅な生活とを、結びつけたのかが謎となり「シオン・コード」として、私の一生を懸けるべき課題となりました。 . . . 本文を読む
デジタル技術は過去にも市場構造を大きく変えてきた。クオーツの登場で誰もが時計を作れるようになり、CDの普及で音響専業メーカーは姿を消した。デジタル技術には変化が速く、陳腐化も速いという罠(わな)がある。特定技術への過度な加担は時として消費者ニーズともギャップを招いてしまう。 . . . 本文を読む
交響曲は各楽器がそれぞれの音色を奏でながら、全体で一つのハーモニーを構成する。地球上の生態系、社会構造から人間の細胞一つ一つまで、すべて響き合ってともに生かされている。まさに交響曲のように存在している。 . . . 本文を読む
遺伝子の働きや代謝など複雑な生命現象は突き詰めれば化学物質に左右される。化合物を操って生命現象に切り込むのがケミカルジェネティクスです。製薬会社が安全性などの課題で薬にならないと見切りをつけるような化合物を、うちでは多く集めている。そうした中から有用物質が見つかるのだから、ガラクタの山から宝を見つける醍醐味もあります。 . . . 本文を読む
先日、機械産業記念事業財団主催の「ちえものづくり展」を見学した。 印象に残ったのは、出口近くで流れるエピローグのインタビュー映像の中で岡野雅行・岡野工業社長が語っていた次のメッセージである。「絶対に諦(あきら)めないこと。諦めるから失敗する。諦めなければ続く」 . . . 本文を読む
運転中の車幅感覚はよい例で、これは車体の隅々まで身体が拡張した状態である。だからこそ運転が可能になる。こうした脳の柔軟性は、道具や機械を活用するだけでなく、人と共同作業をしたり、あるいは他者の感情を理解するために備わった能力ではないだろうか。 . . . 本文を読む
「電子技術には原理的に超えられない限界がある」と、約40年前に発表した法則の終わりを冷静に予言した。半導体技術の進化について「当時は1個68㌣が限界といわれたトランジスタの価格が10ピコ(ピコは1兆分の1)ドルまで下がった」などと延べ、「百年後にこの場に戻ってきてその間に何が起こったかをぜひ見てみたい」と語った。 . . . 本文を読む
【 청춘이란 나에게 주어진 인생의 한 때가 아닌 내 마음의 상태이다 】 優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心,こう言う様相を青春と言うのだ。 . . . 本文を読む
通販で古本などの買い取りを手掛けるネットオフ(愛知県大府市)が面白い試みを今年1月から始めている。同社の買い取りシステムは顧客が不用になった本やCDなど30点以上を送ると、金額を査定し顧客に支払う仕組み。その際に寄付も募るというわけだ。 . . . 本文を読む
重要なのは、国際法秩序への無関心という戦時中の一時的な逸脱が、今度は「平和」の名の下に戦後も逆の方向で引きずってきており、それが今や随所で、日本人の思考や価値観を狂わせる形で恒常化し始めていると思います。 . . . 本文を読む
いつだったか、ご一緒した時、生意気にも「いつか、このご恩は必ずお返しします」と言ったことがある。長野さんは日頃の温厚な顔を厳しい表情に変えて「おれのことより、おまえが本当のプロの作家になった時、後輩たちに、親身になってアドバイスしてあげればいい。それが恩返しだ」とおっしゃった。 . . . 本文を読む