電脳筆写『 心超臨界 』

自ら幸せであることを選ぶかぎり
何ごともそれを止めることはできない
( ソルジェニツイン )

日唐の政府行政組織のちがい――西尾幹二

2024-08-31 | 04-歴史・文化・社会
前項の末尾にもみたように、中国の皇帝崇拝と神の代償としてのその絶対化による政治の形態は、人類史上例をみない特殊な世界であって、日本にはもともとなじみにくいものであった。日本の天皇は神の祭司である。祭政は分離され、中国のような政治権力の宗教化は日本では巧妙に避けられてきている。そのためには神祇官と太政官の二官分立の形式がいち早く賢明に採用され、確立されていたのではないかと私には思われる。今日の象徴天皇制の淵源はすでに律令の中に存在するのである。 . . . 本文を読む

NPO法人を立ち上げ、林業の担い手の育成を始めた――水野雅夫

2024-08-31 | 08-経済・企業・リーダーシップ
目標は林業を志す人に学んでもらう学校の開設。「どんな世界か知らずに入り、すぐやめてしまう人も少なくない。学校や会社に通いながら林業の実情を学ぶことができれば定着する人も増える。どんなニーズがあるかなど、林業・寺子屋プロジェクトを続ける中で探っている」と語る。 . . . 本文を読む

僕の映画のほとんどは福永さんと「草の花」に捧げてきた――大林宣彦

2024-08-31 | 03-自己・信念・努力
福永武彦著「草の花」を、僕は3、4回読んだだけで暗記してしまった。ちょうど楽譜を暗譜するように、福永さんの文章は構成のしかりした楽曲と同じで、一語たりとも欠落しようがない。同時に僕はこの小説に出合って、小説家になるのをあきらめた。僕以上にうまく僕の物語を書く作家がいては仕方がない。 . . . 本文を読む

匂い立つほどの気品が漂う――「蝉しぐれ」

2024-08-31 | 04-歴史・文化・社会
黒澤明監督は、「1本の映画の中で、映画的と思えるシーンは1シーンか2シーンあるかないかだ」と語ったことがある。黒土監督も、「この映画『蝉しぐれ』において、『これが映画だ』と思えるシーンが実はあります。それがどこかはあえて言いません。観客の皆さんに感じて頂ければ幸せです。僕はそういう映画を作ろうと、最大限の努力をしました」と語る。匂い立つ気品のなかで、あなたにとってもっとも映画的と思えるシーンはどのシーンだろうか? それを探すためにも是非見る価値のある映画といえよう。 . . . 本文を読む

豆腐屋だから豆腐しか作れない――小津安二郎監督

2024-08-31 | 04-歴史・文化・社会
篠田正浩監督が助監督のころ、小津安二郎監督の『東京暮色』を担当した。カメラをのぞきながら小津監督は緊張した現場をほぐすために時々冗談をいう。「篠田、その湯呑を3センチ鎌倉へ」。照明の光しかないスタジオの闇の中で方角を失った篠田さんは狼狽してあたりを見回した。失笑が起こり、篠田さんは鎌倉の方角と思われる位置に湯呑を3センチ動かす。畳スレスレのカメラを覗く小津監督を横目にしながら篠田さんは、寝そべった神様だと思った。 . . . 本文を読む
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気に入った。売れ残ったら全部買う――菅原文太

2024-08-31 | 07-宇宙・遺伝子・潜在意識
デパートの特設会場の隅に品物を並べるのもなあ、どこか文化的な雰囲気のある場所は、と考えていて、学生時代しばしば立ち寄った紀伊国屋書店を思いついた。飛び込みで、当時専務だった松原治・現会長(87)に面会。「木工製品? うちは本屋だよ。こないだは芝居をやらせろって、変なやつが来たしなあ。でも、そういうやつはたいていおもしろいんだ」と松原専務、興味を示す。試しに自宅の食器棚を作らされ、「ちゃんと作れるじゃないか」と認められて、1週間の展示会が実現した。 . . . 本文を読む

森光子さんに日野原式若さ術を伝授する

2024-08-31 | 09-生物・生命・自然
元気で長生きしている人に会って元気をもらいなさい。10年先、20年先の目標を持ちなさい。これは私がよく人にすすめる生き方の秘訣(ひけつ)です。 . . . 本文を読む

不都合な真実 《 高橋是清は世界的にはケインズより評価されている――高橋洋一 》

2024-08-31 | 04-歴史・文化・社会
1931(昭和6)年に4度目の大蔵大臣に就任した高橋是清は、翌年1932年11月に日本銀行による国債の直接引き受けを開始する。この頃、世界恐慌の嵐が吹き荒れていたが、いわゆる「高橋財政」により日本における景気回復を成し遂げた人物だ。財政政策と金融政策のフル活動によって、日本経済をデフレからいち早く脱出させたという点で、世界的な経済学者・ジョン・メナード・ケインズより先に大恐慌脱出策を実施した高橋財政は、むしろ海外では高く評価されている。 . . . 本文を読む

不都合な真実 《 ドイツ最大のタブーは移民政策の破綻を口に出して言うこと――西尾幹二 》

2024-08-31 | 04-歴史・文化・社会
ドイツは、地方参政権を「EU国民にのみ与える」という用心深い政策をとっていたが、EU域外からの怒涛のごとき人の波の流入はそれ以前からあり、何をどうしても防ぎようがなかった。問題を政治的に公開し、現実と引き受けて戦う意志を固める以外に救われないのは、麻薬中毒から立ち直ろうとする人の治癒へ向けての戦いと、なんら変わるものではないと思う。 . . . 本文を読む

不都合な真実 歴史編 《 ヤルタ会談は史上最大の過ち――江崎道朗 》

2024-08-31 | 05-真相・背景・経緯
2005年5月7日、ブッシュ大統領はラトビアの首都リガで演説し、1945年2月のヤルタ会談での米英ソ3ヵ国合意について、「安定のため小国の自由を犠牲にした試みは反対に欧州を分断し不安定をもたらす結果を招いた」と言明し、「史上最大の過ちの一つ」だと強く非難したのです。 . . . 本文を読む

悪魔の思想 《 加藤周一――歴史的教訓=「国家の抗戦なくして独立なし」/谷沢永一 》

2024-08-31 | 04-歴史・文化・社会
フィンランドの独立は、フィンランドがソ連に対して友好を持ちかけたせいではありません。徹底的に抗戦して、ソ連にさんざん手を焼かせ、この国を丸取りすることはできないと肝に銘じさせたからです。抗戦なくして独立なし、これが中立国にとって唯一の道であることは疑いないところです。そして現在のフィンランドが置かれているのは、「平和という名の戦争状態」である、と武田龍夫はあえて念押しに強調しています。 . . . 本文を読む

歴史を裁く愚かさ 《 世界にまき散らされる誤報――ドイツの例/西尾幹二 》

2024-08-31 | 04-歴史・文化・社会
数年前になるが、ウヴェ・シュミット記者のひごろの日本報道のひどさに在フランクフルト日本総領事が腹に据えかね、投書欄に反論を寄せたことがあるのを私は覚えている。あの頃から彼はなにも変わっていないのだ。 . . . 本文を読む

日本史 古代編 《 客観志向の『日本書紀』――渡部昇一 》

2024-08-31 | 04-歴史・文化・社会
『日本書紀』のほうは、自己の属する王朝の正史である。文字がなかった時代のものであるから、いろいろな伝承の伝えてあるものをできるだけ広く編集するより仕方がなかったわけであるが、その範囲内における客観性への意図は、十分、現われているとしなければならない。現代においてすら、これだけの客観性への意欲を示していない歴史を編集している国は、いくらでもある。 . . . 本文を読む

人間通 《 貿易——谷沢永一 》

2024-08-31 | 05-真相・背景・経緯
慶長年間の、角倉素庵(すみのくらそあん)は家訓を残し、およそ貿易は先方にも当方にも利益をもたらすための商業であって、相手に損をさせて儲けるようでは宜しくない、と教えた。『国富論』に先立つこと2百年である。 . . . 本文を読む

向上心 《 その果実の“味”は自分が蒔いた種しだい!――サミュエル・スマイルズ 》

2024-08-31 | 03-自己・信念・努力
哲学者ベンサムは、人間は他の人にいろいろなことをしてあげればあげるほど自分の喜びも豊かになる、という信念を抱いていた。思いやりは次の思いやりを呼び覚まし、惜しみなく愛を分け与えればそれだけ自分が幸せになる。親切な言葉をかけるのは、冷たい言葉をかけるのと同様、一銭の金もかからない。やさしい言葉は、話しかけている相手だけではなく、言っている当人にも親切な行為をうながすものだ。その場限りの親切でなく、常に相手の身になって考えるのが、人と人とのつき合いというものなのである。 . . . 本文を読む