電脳筆写『 心超臨界 』

他者の働きによるのではなく
自ら他者に尽くすことにより成功をつかめ
( H・ジャクソン・ブラウン Jr. )

武力と知恵の対決が、南海の王国で火花を散らしていた――ゆたかはじめさん

2008-10-30 | 04-歴史・文化・社会
ペリーは、日本や琉球の出方次第によっては、琉球国を占領する勢いであったから、態度もさぞや横柄であったに違いない。大国の威信と武力を背景に迫るペリーに、武器を持たない小国が立ち向かうには知恵しかない。英語、中国語を巧みに使い、ペリー相手に一歩も引かない牧志朝忠通訳官らの、丁重ではあるが、実にしたたかな対応が続く。 . . . 本文を読む

人間を視覚と聴覚で単純に分類するのは、やはりムリのようだ――木田元さん

2008-10-29 | 09-生物・生命・自然
むかし人間を視覚型か聴覚型かに分ける妙な分類法のはやったことがある。画家や音楽家のばあいは問題にならないが、詩人や作家には、なるほどこの2つのタイプが考えられるかもしれない。 . . . 本文を読む

実にこれが生きているということなのである――福岡伸一さん

2008-10-27 | 09-生物・生命・自然
食物とは、ともと生物体の一部であったものだ。そこには持ち主固有の情報が満載されている。この情報がいきなり、私の身体の内部にやってくると、私の身体固有の情報系と衝突、干渉、混乱が生じる。これを回避するため、消化酵素は、物語と文章を解体し、意味を持たない音素のレベルに還元する。そのアルファベットを吸収して、私たちは自分固有の物語を再構築する。 . . . 本文を読む

だいたい人を助けに行く人はね、強い人が多いんです――河合隼雄さん

2008-10-25 | 03-自己・信念・努力
【小川】 私、先生のご本の中で印象深かったことがあるんです。京都の国立博物館の文化財を修繕する係りの方が、例えば布の修理をする時に、後から新しい布を足す場合、その新しい布が古い布より強いと却って傷つけることになる。修繕するものとされるものの力関係に差があるといけないとおっしゃっているんです。 . . . 本文を読む

ヨーロッパより340年も前に、わが国にも宗教改革は存在したのである――長部日出雄さん

2008-10-24 | 04-歴史・文化・社会
法然はそれまで何よりも尊いとされてきた造仏や起塔、多額の布施や寄進、僧の持戒(じかい)・精進(しょうじん)・禅定(ぜんじょう)等を全て無用の行(ぎょう)として斥(しりぞ)け、ただひたすら「南無阿弥陀仏」と唱えて、衆生済度(しゅじょうさいど)を本願とした阿弥陀仏への帰依を表明しさえすれば、どれほど罪深い者でも必ず極楽往生が叶(かな)う、と説いた。 . . . 本文を読む

アルチュール・ランボーが詩を捨てたというのは本当か――木田元さん

2008-10-22 | 03-自己・信念・努力
ランボーは、20歳で詩と母国を捨てる。しばらくさすらったあと彼は、アラビアのアデンとエチオピアのハラルを拠点に、コーヒーや象牙や武器を扱う商人として、ひたすら砂漠を歩きつづけた。その後骨肉種を患ったランボーは、37歳でその生涯を閉じる。残されたのは、「砂漠のように無味乾燥な」商用書簡だけ――と、私たちは教えられてきた。 . . . 本文を読む

西山禾山老師と、岡倉天心先生にはもっとも大きな影響を受けた――平櫛田中

2008-10-21 | 03-自己・信念・努力
25歳で上京後、しばらくして谷中の長安寺に寄宿した。この近くの寺で、「天空快活な」禅僧・西山禾山の説話に強く心をひかれて3年参禅。「自分が迷いかけていたものが、見えてきた」という。「芸術とは何か」を生涯の師、岡倉天心から学び、その「売れないものをつくりなさい」という言葉から「自分のつくりたいものこそをつくる」ことの大切さを理解した。 . . . 本文を読む

じりじりとデモ隊のなか遡行するバスに居りたり酸き孤独噛み――岡井隆さん

2008-10-20 | 03-自己・信念・努力
わたしは医学生の学生だったとき、下町の診療所に手伝いに行ったりして、共産党員たちに接して政治運動のとば口に立ったことがあったが、あれは、ある意味で、近藤芳美という師匠をとりこえようと思ったからでもあったろう。わたしも結局は入党することなく、就職と共に、次第に考えも行動も、変わって行き近藤さんと同じことになってしまった。 . . . 本文を読む

文化を生み出す力を失った民は閉塞感から逃れられないのでは――高任和夫さん

2008-10-19 | 04-歴史・文化・社会
小説を書く関係で、江戸の天明期のころを調べているが、あの時代も浅間山の噴火や大飢饉や打ちこわしがあって、世情騒然としていた。飢饉を例にとれば、奥州だけで200万人が餓死したという記録さえ残っている。ところが文化の花は咲いたのである。川柳、狂歌、講談、浮世絵、黄表紙、洒落本、歌舞伎、浄瑠璃等々。江戸の人びとはけっこう生活を楽しんでいたようなのだ。 . . . 本文を読む

ぼくたち盲人もロダンを見る権利がある――村山治江さん

2008-10-19 | 03-自己・信念・努力
治江さんの義父は、演劇や絵画に才能をふるった前衛芸術家の村山知義。夫の亜土さんは児童劇作家だった。そんな芸術的環境で育った錬さんが7歳で失明した。そこで、「視覚障害者が作品を自由に触って鑑賞できるように」と1984年にギャラリーを夫婦で始めた。 . . . 本文を読む

夢中で読んでいた本の登場人物が、ふと目の前に現れる――城戸久枝さん

2008-10-18 | 07-宇宙・遺伝子・潜在意識
当時私は愛媛の出版社に勤めていたのだが、その1年ほど前までに東京にいて、野村氏が講師の短期講座を受講していた。取材方法から文献探しまで、ノンフィクションを書くためのてほどきを受け、父のことを書くことへの意識を高めていた。 . . . 本文を読む

グローバリゼーションの暴風が吹き荒れる現代、見直されるべき――長部日出雄さん

2008-10-17 | 08-経済・企業・リーダーシップ
フリードリヒ・リストは歴史的、民族的な制約を帯びた経済の国民的な性格を重視し、物質的な冨ばかりでなく、学問、芸術、文学など精神的な冨も合わせたものを、冨の総体と考え、国内経済を段階的に発展させて、将来の世界社会に入る準備をさせることを「国民経済学」の任務とした。 . . . 本文を読む

若者に希望が持てる将来を準備するのは現役世代の責任である――小枝至さん

2008-10-16 | 04-歴史・文化・社会
修学旅行を楽しんでいる生徒の将来を考えると、少々心配である。日本の若者の将来の目標は「人生を楽しんで生きること」が一番多いそうである。「努力して社会に貢献し、成功する」を目標とする若者は極めて少数である。 . . . 本文を読む

「赤・緑・青」の三原色を並べた画素を横に倒した――NEC液晶テクノロジー

2008-10-16 | 05-真相・背景・経緯
NECは専用メガネなしで三次元(3D)映像を見ることができる高精細の液晶ディスプレーを開発した。両眼に異なる映像データを送り分けることで、平面と立体に映像を切り替えることが可能になる。 . . . 本文を読む

これまでだれも演じたことのない、緒形さんならではの良寛が見たかった――山田洋次さん

2008-10-15 | 03-自己・信念・努力
お互いに70歳を超えた彼とぼくはまだ出会ったばかりだった。緒形さんは、もっと豊かな表現力を持っていたはずだ。彼の書のような、一見稚拙に見えて味わいがある、土塊の奥に人間の輝きがきらきらするような演技を期待できたはずだ。潔く粋な最期は緒形さんらしい。けれども、あまりに早すぎた。 . . . 本文を読む