電脳筆写『 心超臨界 』

影は光があるおかげで生まれる
( ジョン・ゲイ )

歴史を裁く愚かさ 《 ドイツの傲岸、日本の脳天気——西尾幹二 》

2024-08-30 | 04-歴史・文化・社会
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
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「1993年春まで問題とみなされていたのは、日本政府の公式見解による歴史事実の冷淡横柄な黙殺かもしくは否認であった。強制売春制度に軍のなんらかの直接責任があるというのならどうか証拠を出してみせてください、といわんばかりの言葉が関係省庁から漏れ出ていたのだが、結局は関係省庁の文書庫の中に多量の証拠書類が見つかったのである。」(『フランクフルター・アルゲマイネ』1995年7月28日付)……書かれてあることがほとんど100%虚報に近いか、少なくとも針小棒大の誇張であることは、読者にはいまさら証明しなくてもよいだろう。


◆ドイツの傲岸、日本の脳天気

『歴史を裁く愚かさ』
( 西尾幹二、PHP研究所 (2000/01)、p122 )
第3章 慰安婦問題の国際的不公平
1 ドイツの傲岸、日本の脳天気

2年ほど前からドイツの新聞に、東京発特電として「従軍慰安婦」をめぐる記事がのるようになった。しかも公然と日本を揶揄(やゆ)愚弄する言葉が目につくようになった。こともあろうにナチ犯罪を歴史に抱えるあのドイツからである。

以来私はなんともいいようのなく不可解、不愉快で、背後から暴漢に襲われかかっているのに、それに気がつかない迂闊なぼんやり人間のような、うすら寒くなる不安にも陥っている。

例えば、早いほうでは95年夏、次のような文例を見る。

日本人はいまでも原爆の恐怖体験をもって無実の民の犠牲の磔刑(たっけい)と見立てて、原爆のあの閃光が日本人の仕掛けた狂信的戦争に輝かしいゴールの照明を当てたのだということを見ようとしない、というようなことをまず言い、

「2年前まで日本の戦後政府は、天皇の軍隊が7万から20万の間の少女を占領各国から強制連行し、いわゆる『聖戦』の最前線へ娼婦として送り込んだ事実を認めなかった。」

「歴史家や政治家が原爆投下は戦争犯罪か否かを論争している間に、旧日本軍の参謀本部がいわば売春宿のヒモとなって組織していた犯罪には、疑念ひとつ抱かないでこられたのだ。17歳から20歳の間の、大抵は朝鮮人の未婚の女性が、ほとんどなにも聞かされずなにも知らされず、1937年から45年の間に、嘘っぱちの約束に釣られ(天皇のために女工や看護婦となって働きなさい、などといわれて)、身代金で買われるか、あるいは拐(かどわ)かされるかして、辱められ、監禁され、強姦陵辱の限りを尽くされたのである。」

「1993年春まで問題とみなされていたのは、日本政府の公式見解による歴史事実の冷淡横柄な黙殺かもしくは否認であった。強制売春制度に軍のなんらかの直接責任があるというのならどうか証拠を出してみせてください、といわんばかりの言葉が関係省庁から漏れ出ていたのだが、結局は関係省庁の文書庫の中に多量の証拠書類が見つかったのである。」(『フランクフルター・アルゲマイネ』1995年7月28日付)

書かれてあることがほとんど100%虚報に近いか、少なくとも針小棒大の誇張であることは、読者にはいまさら証明しなくてもよいだろう。

軍の参謀本部が売春宿のヒモになって、7万から20万の未婚の少女を人攫(さら)いのように拐かして強姦陵辱の限りを尽くさせた、などという事実が存在しないことは、多数の方からこれまでに徹底的に反論、論証されている。

(ついに関係者であった元官房副長官石原信雄氏と当時の外政審議室長矢野作太郎氏までが、1997年春にいかなる公文書にも証拠はなかったとあらためて証言し、政治的虚言であったことを告白承認した。さらに河野元官房長官もついに同証言を追認した。本章第三論文参照)

ただ上の日付は村山内閣のときである。「謝罪外交」の最中である。そして、「多量の証拠書類が見つかった」というのは、宮澤内閣末期の河野官房長官談話、強制連行の証拠がひとつもなかったのに韓国と政治取引をして、強制連行を認め、取り返しのつかない外交的解決を図った事態を指している。

『フランクフルター・アルゲマイネ』は赤新聞ではない。官報といわれるほどに地味な内容の、ひごろは煽情記事を抑制しているクオリティペーパーである。日本の「謝罪外交」が歴史記録として二度と回復しがたいほどの自己虚言を世界中に広めてしまった一例であり、非は日本政府の底抜けの愚かさにあることはいうまでもない。

ただ、フランスやイギリスが言うのならまだしも、ドイツがこんなことをよく言えたものだと、図々しさに呆れる。人は自らがやったことを他人がやったことのように仕立てて自己防衛する韜晦(とうかい)癖があり、とくに虚言症の犯罪者にその傾向がつよい。ウヴェ・シュミットと署名したこの記者の、どこか喜々とした口調に胡散(うさん)臭さをかぎつけるのは私ばかりではないだろう。
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