明け方に目が覚めて、寝床で芹沢光治良先生の晩年の傑作小説群〈神〉シリーズ(新潮社刊)のことを久しぶりにしみじみ思い出していたが、そうした思いのなかで唐突に横尾忠則先生の絵画作品を眺めたくなり、画集を引っ張り出した。そのうちに無性に吉松隆先生のこの上なく美しい交響曲第4番の音世界に身も心も投じてみたくなり、しばしその素晴らしい音楽のなかに身をたっぷり浸し委ねた。音楽の吉松隆、絵画の横尾忠則、文学の芹沢光治良の三先生方の作品に共通しているのは何かと頭の隅で考えるに、たぶん〈自由さ〉〈賢さ〉〈優しさ〉、そして、モーツァルト風な〈天上世界的な軽さ〉かもしれぬ、と改めて思った。
吉松隆作曲:交響曲第4番。
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