駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

より戻し

2019年10月17日 | 診療

       


 この二十年ほどエビデンスベイストメディシンということで、統計的に有意な治療法や患者ケアが選択されてきた。それは個人的な経験や思い込みに基づく医療への反省から導入されたもので、一定の成果を上げてきたのだが、ここに来て統計的では捉えきれない個性や変化を取りこぼしているという指摘がされ、個別いう視点が再び導入されようとしている。

 ただ個別の特性はまだまだ十分には捉えきれないので、個性と平均を睨みながら妥当な着地点を見つける診療が始まっているというのが正確なところだろう。医療は取り組み体制も複雑で医院、中小病院、大病院大学病院で守備範囲や専門性が異なり、その間の連携も常に調整していかなければならない。

 医院はどちらかと言えば患者さんの個性がものを言う場所なので、今まではそれは標準治療でないと総合病院の医師から指摘されることもあり、患者に合わせているのにと当惑することもあった。勿論、わがままと個性は微妙に違うので、医院の譲歩がいつも正当化できるわけではないが、医院は個性と直に向き合っているのをこうした動きを機会に理解してほしいと感じている。

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