駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

足腰の痛み、俺も私も

2018年09月28日 | 医療

          

 当院は内科であるが、足腰の痛みを訴える患者さんは多い。腰の痛みの中には稀に内科系の疾患が隠れていることもあるので要注意だが、ほとんどは整形外科的なもので、経過を聞いて専門性や緊急性が無さそうであれば、取り敢えず湿布や鎮痛剤を一二週間出して様子を診ることが多い。そうした対応で治る人や軽快する人はそれでもう少し診てゆく、はかばかしくない人は整形外科へ紹介する。紹介した半数近くは病名がはっきりしなかったり同じ薬が出たなどと戻ってくる。脊椎管狭窄症や変形性膝関節症は手術を勧められることもあり、手術は嫌と戻ってくる人もいる。手術を勧められた人は折りを見て、別の整形に紹介したり送り戻している。

 かくいう私も年に一回くらい腰痛に襲われ二週間位辛い思いをする。軽いぎっくり腰で、仕事は何とかできるがとてもつらい。MRIを撮ってもらったことはあるが、煮え切らない説明でここがちょっと狭いんでしょうかねと確とした異常は指摘できないようだった。同業者なので「わかりませんね」と正直に言ってくれる。同業者なので「わかりませんね」がとてもよくわかる。膝の方は階段を上る時に時々痛む程度で、しばらくサポーターを使うと軽快する。要するに寄る年波で、10歳ばかり後ろにずれはしたが昔の人の言葉は核心を突いている。

 整形外科的な病気は手術をすればうまく治ることも多いが、大抵は非外科的な治療で行きつ戻りつ終わりまでお守りすることになる。しかしながら歩けるということは、馬ほどではないが生きてゆくのに物凄く重要で、寝たきりは早晩の終わりの始まりになるので、膝の手術を勧められたら思い切ってやるのが得策のようだ。腰の手術に比べると経過の良い人が多い。ここからあとは企業秘密な?のだが、手術は術者を選ぶ側面がある。勿論、何事にも100%はないので、あの先生に診て貰ってあの先生に手術して貰って良しというのが究極の結論になる。そう思えるかどうか、医療はいつも患者と医者の二人連れだ。

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