患者さんから時々頂き物がある。殆どが食べ物で、自宅で取れた農作物や御菓子が多い。時代の流れか、二十年前に比べれば半分ほどに減った。職員と分けて頂く。余れば彼女達に自宅に持って帰って貰う。
日頃の診療に対する感謝や親しみの表現と有り難く受け取っている。当院は場所柄生活保護の方が多く、二十名ほどおられる。中に時々銘柄品のクッキーを持ってこられる方が居る。関西の方で、身に付いた習慣のようだ。何だか受け取りにくいが、断るのも悪くありがとうございますと受け取っている。同じ生活保護の方でも、当院備え付けの飲料水を水筒持参で来られ、そっと詰めて持ち帰られる方がいる。当初は大目にみていたが、毎回なのでさすがに事務の方でお断りした。
総合病院から紹介状持参で受診される方が月に十名ほどおられる。時々、紹介状を開封して中を見た形跡のあるものがある。大ぴっらに開けてあるものから、封をし直したものまでいろいろだ。一瞬、顔を見るけれども何も言わない。気持ちは分かるけれども、信書を無断で開けるのは感心しない。内容に隠し事はなくても本人宛ではないから素っ気なく事務的な表現がしてある。それに素人には分からない表現も多いと思う。
診療では信頼が一番大切、それがなくては良い診療はできない。病気は難しくいつも上手くゆくとは限らない、それでも医者の努力と技能を認め信頼して貰えるのが一番嬉しい。中には人情紙風船、誠心誠意やっていても虚仮にされることもしばしばある。町の医者は便利だが能力は劣っていると思っておられる患者さんがおられるのだ。役割が違うと言うことが分かって頂けていない。