駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

お断りさせて頂いている

2012年11月22日 | 診療

    

年に数名、中高年の女性がご相談とかお願いがと言ってやってくる。彼女達は何かすっきりしない愁訴を抱えている。時々冷や汗が出る、頭が重い、ふわふわする、などなど。

 なぜ私の所にやってくるのかよく分からない。過大な噂を聞いたのだろうか。私は特別親切なわけでもなく、患者さんの悩みを解く魔法の杖をもっているわけでもない。しかし、彼女達は私が問題を解決してくれると期待しているようだ。

 残念というか申し訳ないのだが、そういう患者さんはお断りしている。というのは彼女達は高血圧症や高脂血症で定期的に通院している主治医を持ち、多くは精神科や心療内科にも通っているからだ。初診の私よりも長く通院している先生の方がよく分かっておられるはずなので、そこで相談して下さいと申し上げることにしている。

 今までの経験から、こうした患者さん達はいろいろな訴えを聞いて貰いたくてやってきたのを知っている。毎回、同じ病気の症状とも愚痴とも判然としない、人生のやるせなさを聞かされるのは遠慮させて頂く。なぜ、血圧で通院しているところで相談しないのかと聞けば、そこは薬を貰うだけとか取り合ってくれないとか言われる。それはおかしな話で、冗談もほどほどにして頂きたいと思う。私は私を主治医として通ってくる患者さんのお話を聞くだけで手一杯です。

 医院に来る患者さんの中に身体の病気の他にあるいは身体の病気と絡みついて不幸、不満、不安を抱えている人が居る。特に女性にその傾向が強い。これは長く一つの場所で臨床をして初めて実感できることだ。話を聞いてあげるのが薬だが、こちらにも限界がある、主治医として通院されない方の場合は申し訳ないが、お断りしている。

コメント
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