駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

幻の長寿大国

2010年08月06日 | 世の中
 行方不明生存確認不能の超長寿者が続出している。早速、お隣の韓国に虚構の長寿大国などとで揶揄されてしまった。新聞テレビに出ると類似事件が続出することはよくあることだが、今回の事象は新聞テレビで報道されたので慌てて調べたらと出て来たということで、いつものパターンとは微妙に異なる。
 いくつかの問題点が指摘できよう。
 まず事柄として親子関係、つまりは家庭の有り様に変化がある。子供と呼ばれても子供が後期高齢者という側面も見逃せない。それにご近所づきあいなど近隣で形成する社会の変化も伴っている。
 次に住民の実態把握法の問題である。調べ方と検証の仕方の両方に問題がある。
 最後に社会の変化を把握する方法の点検見直しが行政レベルで十分に行われていないことが挙げられる。
 これを論ずることは町医者の手に余るし、もし試みたとしても多大の時間と数百ページを要するので、気になることを少し書いておこう。
 数字というのはいかにも信用できそうで信用できないということだ。いかにして数字にしたかに厳しい目を向けないと、また平均余命が伸びた、誠に結構で済んでしまう。
 手直しが必要なところは数多いが、多くの人が先ず思うのは「こんな社会に誰がした」だろう。あなたでもあり私でもあり、あなたでもなく私でもない。マスコミの功罪は抜かせない問題点だ。それを論ずる時、戻ることは出来ないが歴史には学べることを強調したい。
 誰が世の中の医者か知らない、賢人?そして誰もがだろう。勝れた臨床医オスラーの言葉を思い出す「患者の言葉に耳を傾けよ、患者は医師に診断を告げているのだ」。
 勝れた臨床医は卓越した診断能力と当事者精神を備えている。「あんた誰」。「わしゃ知らん」。がこだまする社会の医師を目指せばどちらも欠かせない。
コメント
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