駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

幸運の女神は

2010年08月03日 | 町医者診言
 幸運の女神には後ろ髪がないと言う。私はこれは不正確というか誤解を与える表現だと考えている。こんな事を言って、幸運の女神の機嫌を損じたら恐いのだが、幸運の女神はさほど美人ではなく十人並みの容姿なのではないかと疑っている。というのは正面から幸運の女神とわかればやり過ごす人は殆ど居ないだろう。みんな、それっと急いで前髪を掴んで離さないはずだ。現実には何の気なしに振り向いて、今のおばさん、後ろ髪がないやんけ、あれー幸運の女神だったんだと焦るのではないか。過去を振り返って初めて幸運だったというのが分かる訳だ。
 このことわざというか警句は分かっている幸運をやり過ごして、後からやっぱりこの幸運を生かそうと振り返っても取り返せませんよというように理解されていると思う。しかし、実は幸運というのは気が付かないために逃すことの方が現実には多いのではないか。誰しも一二回気が付いた幸運を見送って後で後悔した経験があれば、次からは逃さないようにすると思う。幸運は分かりにくいから見逃し、後で気付いても過ぎ去って取り戻せないというのが本当のところだろう。
 だから「幸運の女神には後ろ髪がない」よりも「幸運の女神は一見普通の女性に見える」とした方が良いと思う。大体女神に後ろ髪がないなんて、大変失礼な話で化け物みたいではないか。
 尤もこういうふうにこの警句を変えれば、並の女性が実は私こう見えても幸運の女神なのと言って、うっかり男を捕まえるかもしれない。
コメント
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