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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

高齢者介護の困難

2022年07月12日 | 医療

           

 

 青空がなく空気が澱んでいる。気温はやや低めだが湿度が高く不快指数は高い。自分が年を取って感覚が鈍くなったせいだけでなく、実際に季節感が薄れていると感じる。時蕎麦の今何時と同じように高齢者の患者さんに今何月とお聞きすることがあるのだが、六月とか九月と答えられても大きな間違いではないと判定したくなる。

 三十年で高齢者診療が大きく変わった。まず介護という概念が導入され自立生活が困難な高齢者を保険を使い公的に支援する制度が生まれた。四半世紀前までは長期入院や家庭看護で呆けが進んだ高齢者に対応していた。しばしばそのために女性が家庭に縛られているのを目にした。末娘が嫁にゆかず両親の老後の世話をするのは珍しくなかった。彼女らの嗟嘆が聞こえる気がする。

 介護保険制度の導入により、そうした事例は減ったが高齢者介護の困難は残存している。長く一か所で内科医院をやっていると徐々に介護が必要な高齢の患者さんが増えてくる。介護保険制度、訪問看護センター、デイケアセンターなどの普及により家庭や開業医にかかる負担はやや軽減したが、介護と介助そのものは減っていない。あれ大分弱られたなという患者さんにはあちこち連絡して徐々に看護介助体制を整えるようにしているが、難しい患者さん難しい家庭・・もあり苦労させられることも多い。

 寝たきりのいないスウェーデン方式で自分で歩けない食べられない人はそれが終点でお世話しないというのも一つの選択だが、これには考え方を変える必要がある。自然発生的ならともかく、困るからそうしようというのはいかがなものかと思うが、ご都合で動くのが日本方式ですと言われてしまうかもしれない。

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新型コロナワクチン漸減

2022年04月19日 | 医療
            

   今朝は久しぶりに青空が見える。ほっとして身体が軽い。
 新型コロナワクチン希望者が一ヶ月前の半分に減った。モデルナの日は六、七人で開店休業に近い。三回目までは感染を防ぐ力は弱くても重症化は防ぐ効果はあるので打っておいた方が良いのに、喉元過ぎれば熱さを忘れる習性が出てきている。ワクチン四回目は効果がないという報告が出ており、四回目はやる意味がなさそうで、第七波にはどう備えるのだろうと心配している。
 ウクライナ戦争と参議院選挙でコロナは下火にならずくすぶっているのに忘れられつつある。うんざりしても退散してくれないのが新型コロナで、対策は必要なのだが厚労省から特別な指示はない。尾身さんも政治的発言が増え、ますます頼りない。マスクをして多人数での飲食を控え続けるしかなさそうだ。
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まん延等防止措置の意味と効果は?

2022年02月21日 | 医療
            

 まんぼうと呼ばれるまん延等防止措置はどの程度効果があるのだろう。その有効性は検証されているだろうか?、曖昧だ。やってる感の演出もあるのではないか?、(演出は効果があるから採用される)。
 第六波は頂点を過ぎたなどと言われているが、検査数が不十分で陽性率も高く死者数は減っておらず、その科学的な根拠は薄弱だ。波には頂点があり通りすぎるものだが、第六波の形は不明だ。尾身さんピークアウトなどと話を逸らさず、あなたこそピークアウトしていただきたい。
 日本の感染者数は世界で19位前後、百万人当たりの死亡者数は14位前後で、インド、韓国、台湾、中国よりも多い。決してうまく制御できているわけではない。
 科学というのはデータがなければはっきりしたことは言えない。政治家は不十分なデータと思惑で物を言い、言い募ればそれが通ると思っているのだろうか。
  大阪の死者数は東京の二倍以上だ。忖度なく事実を見つめるのが科学、大阪の失政から学びこれからに備えるのが厚労省の仕事だと申し上げたい。
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終了時間を考えて

2022年02月18日 | 医療
          

 午前中の診療は十二時までになっているが、十二時までに来ればよいというものではない。勿論、いつもの血圧での定期受診なら問題ないのだが、朝からお腹が痛かったり胸が苦しかったりしたのが三、四時間様子を見たのによくならないので、まだ間に合うと十一時五十分に駆け込まれては困る。というのは、胆嚢炎や心筋梗塞など重い病気が疑われる場合は、総合病院へ送らなければならないからだ。
 そうした重症疾患かどうかを見極めるのに、急いでも十五分は掛かる。総合病院は十一時半までが目安で、それを過ぎると時間外扱いで「はいどうぞ」とは言ってくれない。救急の若い医師は私のことなど知らず、不勉強の老人医扱いされることもあり、説明交渉して送り込むのが一苦労なのだ。
 忙しい救急外来に気軽に送り込まれては敵わんという気持ちはよくわかるのだが、受けてもらえないとあちこち探さなければならず手間取る。
 病気は予想外に襲ってくるものではあるが、病院というのは日中いつでも万全というわけではない。手の揃っている時間帯に受診するのが賢い、礼儀と申し上げたい。勿論、やむを得ないこともあるでしょう、しかしそのために何某かの負担が掛かることを知っていただきたいと思う。
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聞く耳の間は

2022年02月09日 | 医療
             

 岸田首相は聞く力を誇示しておられるようだが、一番大切なのは耳と耳の間に詰まっているものの働きだ。単なる愚痴なら聞いて貰うだけで気持ちが鎮まるかもしれないが、愚痴ではなく危機では聞いてる間に判断実行が遅れてしまう。危機では見て聞いて熟慮即断しなければならない。
 大阪の拙戦を反面教師に世田谷区の善戦を参考にするだけで、直ぐやらなければならない方向性は分かるはずだ。
 検査しないで診断しろなどと無理を現場に投げつけないで戴きたい。感冒と見分けが付きにくい症例が多いので、検査なしでの正診率はイチローの打率程度とても藤井聡太の勝率までは行かない。一般人と医療従事者の隔離期間が異なる理由も理解できない。ご都合で科学を曲げてしまっている。
 手持ちの札(医療施設、保健所)で賄おうとするから、どんどん配れる札が減ってしまう。札を増やすことを忘れているのだ。東京ドームや国立競技場を使えば、三千くらいのコロナ病床を三ヶ月で作れるはずだ。中国は一ヶ月で作った。コロナ管理を保健所だけにせず役所や公立病院まで広げれば、保健所が手一杯で対応できないと言うことはなくなるはずだ。何のためのデジタル庁、デジタルを使えば簡単にできる。PCR検査装置の開発生産は日本の得意技ではなかったか。
 政府首脳は自分の脳味噌が手一杯と自覚して知恵を借りて欲しい。賢い人は一杯居るではないか。猫の手、否野党の手も借りたらいい。 
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