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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

五月八日に変わる

2023年04月28日 | 医療

               

 

 五月八日に新型コロナの感染法上の扱いが5類に変更になる。インフルエンザ並みになるわけだ。医療側の診察負担は減るが患者側の懐への負担は増加する。連休明けというのにはいろいろな都合配慮があると思われる。

 一日で突然扱いが変更になることに新型コロナウイルスは納得がいかないだろう。人間というのは不思議な動きをするものだ、特に日本人というのは一律杓子定規で危ういと見ているように思われる。

 厚生省には判断基準となる大切なデータ収集がおろそかにならないようにお願いしたい。

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緊張が付きものだが

2023年02月09日 | 医療

             

 

 医者も人間、私も高血圧症をはじめとして三つの病があり四種類の薬を飲んでいる。主治医を畏友H先生にお願いし二か月に一度通院している。半年に一回採血検査をしている。この採血検査で早期発見ができてもう少し生き延びられそうなのだが、昨日も受診して採血した。なにせ聴診器より重いものを持たないのであまり血管の出はよくない。「えーっと先生の採血はこの血管でしたね」と確認している。ちゃんとどの血管で採血したかをよく覚えているのは偉い。

 慎重に確認してからちょっと痛いですよと針を刺したのだが幸い一発で入った。どうも少し手が震えている。針先が動いたが何とか8CCほどの採血ができた。ほっとした様子で「ちょっと緊張しました」と言う。医者だからか私だからか分からないが、そんなに緊張しなくていいのにと思った。大抵の看護師さんは私から採血する時緊張する様子だ。退職したAさんだけは緊張することもなく、ずぶっと刺してはいお終いだった。彼女は本当に肝っ玉が据わっており、重症患者が受診した時など傍にいてくれると随分心強く、適切な判断処置ができた。実はほとんどの医師は重症患者を目の前にすると焦りや緊張が出てくるもので、落ち着いた看護師が傍らに居ると随分と助かるのだ。

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生産中止になる薬

2023年01月17日 | 医療

           

 

 年に一つくらい使い慣れた薬が生産中止になる。効果がなくなったわけではなく、利が薄くなったかあまり売れなくなったか・・が理由だと推定する。勿論、代替えできる薬はあるのだがちょっと値が張ったり名前が馴染みにくく直ぐに憶えられず、しばらく躓いてまう。

 どういうものか薬価(厚労省の定める薬の値段)は時を経るとだんだん下がってゆく。四十年前に一錠二十二円だった薬が今じゃ九円五十銭などと聞くとあんまりじゃないかという製薬メーカーの気持ちが分かる気がする。中には殆んど利益の出ない薬もあるのだろう。この値上がりする世の中で改定のたびに値段が据え置きあるいは下がるのでは生産中止する会社が出てくるのも仕方がないと思う。医師が使う薬の値段は天丼やラーメンと違い店で決めるわけではなく行政の薬価算定組織で決められるので、薬品メーカーの声は届きにくいらしい。新しい薬の方が薬価が高く決められ利益も出るので宣伝にも力が入り、若い先生は新薬を使う傾向があるので、どうしても古い薬の使用量が減って生産中止という循環が出来てしまうようだ。使い慣れた薬は手放しにくいもので、同種同効と言われても馴染みにくく暫く戸惑うのが本音だ。実際に数多く患者診ないと分からない感覚というものがある。職人の勘とか経験的なものと軽んじられる傾向があるが、意味のある感覚で貴重なものなのだが。

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医学書の値段

2023年01月05日 | 医療

           

 

 以前四つも五つも入っていた学会も少しづつ減らし今は内科学会だけ、あとは職種の日本医師会に所属しているだけで随分すっきりした。医学雑誌の購読も医事新報(週刊)だけにしたので、月に送っている会誌は六冊に減った。以前は月に十二冊ほどあり目を通すのが大変だった。勿論、六冊でも十分な量だが。このほかに時々、本屋に行ったり書評を読んだりして参考になりそうな専門書を購入する。一般の本の三、四倍の値段がするが、一つでも診療に役立つことがあれば良いと買ってしまう。元々医学書は高いという先入観があるので、五千円と言われてもそんなものかと支払ってしまう。旅行ガイドブックや料理本なら精々千数百円までで、実際そうした本はそのように値段が設定されている。

 なぜ医学書がこんなに高いのか誰か調べてせめて二三割でも安くしてくれないかと思う。よく発行部数が少ないからと聞くが大抵のものは数千部は売れていると思う。一万部以上売れると思われる内科学の教科書などでも三、四万円と驚く値段だ。医学書は古くなると価値がなくなるので古本屋も二束三文でしか買ってくれない。高価という伝統?と仕事のためという流れで支払ってきたが、悪しき伝統のような気がする。医療費削減には医師の能力維持向上にかかる費用を軽減することも含まれると思う。

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鬩ぎ合い妥協で複雑化

2022年12月08日 | 医療

              

 

 診療代金はレセプトという請求書を国民保険社会保険の支払機関に提出して窓口負担以外の料金の支払いを受けるシステムになっている。これが中々複雑怪奇な仕組みになっており、整合性が不十分な請求(多くは見落としや見解の違い)は支払いを拒否される。その多寡は医療機関によって異なるが、概ね0.5-1.5%くらいが支払いを拒否される。再請求で復活されることもあるが、再度拒否されることも多い。支払いを拒否された分は医療機関負担となり損失となる。

 ラーメンと餃子を食べたお客さんの請求書に餃子が抜けていた場合、目の前で食べたわけだから申し訳ありません餃子代400円を打ち忘れましたので400円お支払いをお願いしますと言われれば、支払ってくれるお客さんが多いと思うのだが、医療保険の支払基金は病名打ち忘れは認めませんと支払ってくれない。

 医療費は検査、薬品代金、診察料の他に様々な判断料指導料往診料など一定の条件が揃っている場合に支払われる料金がある。それが数年ごとの改定で変わるために事務の頭がこんぐらかって請求し忘れることがある。支払い側は請求できる料金の請求し忘れを教えてくれない。そのために院長が後から気が付いて、何だこれはと事務に怒り出すことがある。

 日本の医療保険制度は上手くできているのだが、請求側と支払い側が鬩ぎ合い妥協して仕組みが複雑化している。手続きのための費用は甚大となり、ここにも日本気質の特徴が出ていると診断している。

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