玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*天皇・沖縄への思い

2017年09月11日 | 捨て猫の独り言

 現在の天皇は日本国憲法のもとで即位した初めての天皇だ。「象徴」としての天皇像をどのような思いで築いてきたのか、その歩みをたどるという連載が毎日新聞で始まった。その第一部は「沖縄への思い」である。かつて天皇制に反対とあっけらかんに表明したこともある私だが、現在はその未熟さを認めることにしている。そこには美智子皇后には参りましたという思いも混じる。

 

 初めて沖縄を訪れたのは本土復帰の3年後、皇太子時代の1975年だった。このとき海洋博の開会式の「おことば」の原案を見せられ意見を聞かれたのは、元沖縄放送協会会長の川平朝清だ。米国人の来賓もいるので戦争に触れるのは穏当でないとの高名な学者の進言があって期待通りの修正はしないと、後日宮内庁から連絡があった。しかし実際に述べられた談話は「これこそ県民が聞きたかった言葉」と川平さんが感動するほどの内容だった。

 

 歴代天皇として初めて沖縄を訪問したのは、即位4年後の1993年全国植樹祭だ。革新系知事の大田さんは、賛否の割れた天皇の初訪問を「平和の象徴として来られるのだから」と迎えた。大田さんは来訪へのお礼の意を示す記帳のため上京する。それを聞いた陛下はお会いしたいと応接室に招いた。両陛下と大田さんの3人だけだった。「沖縄の人々の皇室への思いについて、僕が安心させるようなことを話しても信じておられないような気がした。沖縄のことをずっと考えていらっしゃるんだなと受け止めた」

 陛下は、皇太子のころから沖縄の伝統文化や歴史を学んだ。琉歌も琉球王国の王たちが詠んだ歌を手本に研鑽を積んだ。浦添市の「国立劇場おきなわ」の前に歌碑が立つ。「国立劇場沖縄に開き執心鐘入見ちゃるうれしや」とある。2004年に開場を記念して上演された「執心鐘入」を鑑賞された時に詠んだ。訪問前の記者会見で「復帰を願ったことが、沖縄の人々にとって良かったと思えるような県になっていくよう、日本人全体が心を尽くすことを、切に願っています」と国民に語りかけた。

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