日曜の夜8時は惰性でNHKの大河ドラマを見る。夜9時からは全60回という韓流ドラマ「トンイ」を見る。これは録画したものを見ることが多い。「トンイ」はこの4月から始まった。私が韓流ドラマに本腰を入れて付き合うのはこれが初めてだ。主人公のトンイは朝鮮王朝の中期、最下層の身分から19代王スクチョンの側室になった実在の女性である。トンイを演じるのはハン・ヒョジュさんで「日本には10回ほど来ています。一人で旅行したこともあるんです。みなさん親切で、来れば来るほど好きになります。一緒に仕事をしたい監督や俳優さんもたくさんいます」と言う。
ごく最近東京都生まれの笛木優子という女優の存在を知った。2001年「ホタル」で映画デビューするなど日本での芸能活動のある彼女が語学留学のため3カ月の予定で訪れた韓国で、ひょんなことから韓国のドラマに聴覚障害者の役で出演することになる。そのとき付いた芸名はユミンである。韓国デビュー時は日本人であることを隠し韓国人女優として人気を得た。後に日本人であることを告白し波紋を拡げる。日本人ということだけでこんなに嫌われるのはなぜか。そこで笛木優子は歴史の本を読みあさり韓国を理解しようとする。そして現在も韓国と日本の架け橋となって活躍している。
先日の朝日アマ囲碁名人戦で優勝したのは韓国出身のホン(洪)・ソッギさん24歳である。韓国出身者が優勝するのは5回目という。洪選手は小学1年で父親に囲碁を教わり国内外のアマ棋戦で活躍した。大学では日本語と日本文学を専攻した。碁打ちの引退を描いた川端康成の小説「名人」を読破、別府や有馬の温泉を訪れては2時間は湯につかった。それだけでは飽きたらず今年の4月に来日し、大阪府箕面市で暮らし日本語などを学んでいる。井山祐太名人(22歳)の「自由な碁」にあこがれるという。 「碁盤には人生のすべてが詰まっている。なぜなら囲碁は棋譜がすべて異なり、打ち方一つで盤面は広くも狭くも感じるから」と洪さんは答えている。
私も最近は碁に親しむ時間を多く持つようになっている。一局の碁は序盤の布石、中盤の攻防、終盤のヨセまでかなりの手数がかかる。囲碁に対する私の感じ方は洪さんと異なり、終局までのその手数の多さを人生の道のりと考える感じ方である。盤面で広い狭いの感じ方ができるようになれば私の勝率も上がることだろう。洪さんの愛読書の一つは、少年の葛藤と成長をつづる村上春樹の「海辺のカフカ」だという。主人公の悩みに共感するという。洪さんのような若者の存在にみられるように、日韓の交流は今後ますます盛んになるに違いない。日韓の若者たちの健やかな感性に期待したい。(写真は たいまつ草)