AND SO ON

世界の片隅から、愛をささやいてみたり @goo

三谷幸喜版『死との約束』(ネタバレ全開)

2021年03月10日 | ベーカー街界隈
ドラマ『死との約束』



    2019.11.23 撮影(京都/嵐山)


三谷幸喜さん脚色によるアガサ・クリスティー作品第3弾。

毎回楽しみにしているこのシリーズ、
でも、第3弾が『死との約束』だと聞いて、
おや、なんて地味なチョイス、と思いませんでしたか?
正直、私は思いました。
印象的な作品ではありますが、映像化すると動きは少ないでしょう。
どんな風になるのかなあ、と思っていました。

そしてやっぱり、動きの少ない作品だったと思うのですが、
それでも印象にしっかり残ってくるあたりは、原作尊重派のこのシリーズらしいところ。
何よりボイントン夫人もとい本堂夫人役の松坂慶子さんが、
とても楽しそうに恐ろしい暴君を演じていて、
いやあ松坂さんにこんなおばあさん役ができるとは、と驚いてしまいました。

一方、勝呂さんの周囲は美女ばかりが取り巻いていて、それも面白かったです。
みんな芯のしっかりした女性ばかりでしたし(あ、編集者さんは違うか)、
その分男性陣の影が薄かったのですが、うろたえる山本耕史さんとか、
か細い声で話す市原隼人さんとか、このお二人が薄いこと自体が楽しかった。

証言する人全員が嘘をついていて、
黒板に書かれた時系列の上にどんどん✖がついていくのも、
わかりやすかったし面白かったと思います。

ただし!
残念ながら、途中で入るCMが多い&長い!
おかげで、CMの間にうっかり寝落ちしてしまいましたよ。
念のため録画しておいてよかったです。


>>> デビッド・スーシェ『名探偵ポワロ』「死との約束」の感想はこちら




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三谷幸喜版『アクロイド殺害事件』(少しネタバレ)

2018年04月14日 | ベーカー街界隈
ドラマ『黒井戸殺し』


                    Photo by Prei's Wind


今回もまた、大変面白かったです!

三谷さんもクリスティーも好きで、大泉洋も大好きな人間には、
3時間があっという間でした。

今だから言えるけど、公式サイトのコピーがすごく秀逸だったんですよ!(笑)
最初に見た時からずっとにやにやしておりました。
『オリエント急行殺人事件』の時も書きましたが、
原作もデビッド・スーシェのドラマもまったく知らないで観た人が羨ましいなあ!

いやむしろ、スーシェさんのより一層原作に忠実で、
素晴らしかったんじゃないかとさえ思いました。
カボチャが飛んでくるところも、最後の独白も、まさに原作通り。のはず。
(スーシェさんのは、なぜか最後が活劇になってしまっていて、
 脚色に苦労したんだろうなあ、と思ってしまったものでした…)

最後の真相解明の場面は、原作を読んでいたときも
「嘘でしょ!嘘でしょ!」と思いながら読んでいたのを思い出します。
夕暮れの光が部屋に差し込んで、逆光と陰影が美しく、
断罪の場面でありながら、叙情的で余韻があるなあと思いました。

【追記】
 ネット上の感想で、まさにこの「嘘でしょ」という読後感を映像で表現していた、
 と書かれていた方がいて、そうかー、キャスティングも演出もすべてその一点に
 向かって作られていたのかー、と改めてうなりました。すごい。

そして、2回目だからか、そばに大泉さんがいたからか、
野村萬斎さん演じる勝呂さんが、それほど奇異に感じませんでした。
「悪魔的」と評されたアルバート・フィニーのポワロに近い感じ。
そして大泉さんは、こういう役やらせるとホントにうまいなあ。

ほかの登場人物も個性的で存在感があって、とても楽しかった。
多くの『真田丸』勢に一人だけ『直虎』(常慶さんv)が混ざっていたり。
個人的には、藤井隆さんがよかったです。
「全然気付かなかった」って、ショック受けるのそこ?(笑)

もう二大作品つくっちゃったから、3作目はないでしょうか。
『葬儀を終えて』とかもいいとは思うのですが、ちょっと小粒ですよね…
『ナイルに死す』は「鬼怒川下り殺人事件」として言及されちゃったので、
映像化はなさそうです(^^;

それにしても、1926年にこれを書いた(しかもポワロもの長編3作目)
アガサ・クリスティーってただ者じゃないですね! と改めて思いました。
なぜ創作ノートが残っていないんだ!

コメント (9)
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ようやく観ました『トミーとタペンス』!

2015年10月25日 | ベーカー街界隈
NHK『トミーとタペンス/2人で探偵を』


録画したものの観るヒマがなかった『トミーとタペンス』ですが、
日曜日の今日、ようやく観ることができました。まずはめでたい。

原作は全5作あるトミーとタペンスのシリーズは、
クリスティーの他の探偵たち、ポワロやミス・マープルとはちがい、
どんどん年を取っていくのが特徴です。
第1作では2人とも20代でしたが、第5作では70代。
なので、例えばフランスで映画化されたりすると、50代くらいで登場します。

そして、今回のドラマでは、息子もいるし30代くらいかな?
ロンドン郊外に住んでいて、トミーは養蜂を始めようとしていて(ホームズか?)、
タペンスはスリラー小説を愛読している冒険好きな主婦、というところ。

まあ、そんなわけで、私には珍しく不満を言いますと。

・トミーがやっぱりイメージじゃない(^^;
 動き出したら素敵なのかと思ったら、やっぱりもっさりしている感じ。
 そして、声の大塚明夫さんがきっちり「もっさり」と演じているので、
 もしかしたら原語で聴くよりさらにもっさり感が増しているのでは(^^;

・タペンスはイメージ通りですが、すでに母親なのにやってることがおかしくないか、という感じ。

大好きなジュリアス・P・ハーシャイマーが、なんか怪しげになってしまっている!
 これはトミー以上にショック(涙)

・アルバートがえらいことになっていますが、これはこれで面白いのかな。

というわけで、一番の不満は、
トミーもタペンスも賢そうにも冒険好きにも見えない!ということ。
話の筋立てが変わるのは全然構わないと思うのですが、
キャラクターが変わってしまうのは辛いなあ…でも、もう少し観てみます。
最後まで観たら印象も変わるかもしれませんし、ね。




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NHKで『トミーとタペンス』

2015年10月11日 | ベーカー街界隈
今朝、NHKを流していたら、
『トミーとタペンス/二人で探偵を』の予告が流れてびっくり!

>>> NHK『トミーとタペンス/二人で探偵を』

おおお、でもきっとBSプレミアムなんでしょ。
と思っていたら、総合テレビだったのでさらにびっくり!
『ダウントン・アビー』の時間ですね?
(いまの『情熱のシーラ』は観ていなかったので ^^;)

BBCで今年放映した作品だそうですが、
ずいぶんな早業ではないですか!
これはあれですか、『SHERLOCK』の新シリーズも
ご期待ください! ということですか?

しかし、まだ写真でしか拝見しておりませんが、
今回のタペンスはイメージ通り、でもトミーが…という感じです。
昔の『おしどり探偵』の方が、トミーのイメージだったような。
ただそっちは、フランセスカ・アニスがタペンスじゃなかったからなあ(^^;
(『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』のフランキーにはぴったりなのですが)

>>> 『おしどり探偵』 Amazon.co.jp

あとあと! 「秘密機関」の筋立てが、かなり改変されています。
そうよねー、いま読むとライトノベルですものね(と前にも書きましたが)。
第2話が、本来二人が壮年期のはずの「NかMか」だというのも興味深いです。
どんな風に仕上がっているのか、とても楽しみです。
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久々のベーカー街!

2015年07月18日 | ベーカー街界隈
皆様、3連休いかがお過ごしですか。
台風の影響や被害はありませんでしたか。
こちらでは、昨日まで天気はよかったものの
ずーっと海鳴りがすごくて、轟いている感じでした。
今日は時たま小雨が降ったりしています。


さて、久々にEテレ『シャーロックホームズ』のサイトをのぞいてみたら、
なんと編集し直して来週から放送が始まるって言うじゃないですか! びっくりです。
しかも、確実に子ども向きじゃない夜中に…どういうことですか(笑)
私もその時間だともう寝てますよ、平日だと。
ということで、さっそく録画予約いたしました。
この調子で、新シリーズも始まればいいのに。
(まあ、三谷さんの大河ドラマが終わるまでは無理でしょうけど)


ついでに、『SHERLOCK』の方ものぞきに行ったら、
こちらもスペシャル版の制作が進んでいるようで、
クラシカルな装いの2人に「おおっ」と思ってしまいました。
ホームズはともかく、ジョンが思いの外ワトソンらしくて、これもびっくり。
あと、予告(?)の音楽がそこはかとなくグラナダっぽくて
「おい、スタッフ」と思いました(笑)
しかしこれ、どの程度これ(ビクトリア朝)でいくんでしょうか。
「…っていう夢を見てさ」とかいう展開なんでしょうか。気になります。

>>> BBC『SHERLOCK』(リンク先はUKです。念のため)


【追記】'15.07.23
 上記のビクトリア朝の『SHERLOCK』は、
 どうやら90分まるまるこれでいくようですね。
 >>> シネマトゥデイ

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三谷幸喜版『シャーロックホームズ』最終回

2015年02月16日 | ベーカー街界隈
NHK Eテレ『シャーロックホームズ』

・ついに最終回を迎えた人形劇『シャーロックホームズ』。
 何しろ原作が「最後の事件」ですから、どうなることかと思いましたが、
 エッセンスとしては「モリアーティと相打ち」ということでしたね。
 滝に落ちる代わりに、どちらも学校から去っていきました。
 他にも、「老人に変装」とか「部屋の壁を塗り直す」とか
 ちらちらと原作の小ネタが入ってきていたような。

・原作を翻案するに当たって、原作通りの人もいれば
 性格が真逆に反転している人もいて、そこも面白かったです。
 いい方に転んでいたのがミルバートンで、逆がマイクロフト。
 そういえば「7歳違いで有力者の兄」って、大泉さんちみたいですね(笑)
 (いや、どっちも日曜に観たものですから)

・第1回の頃には「友人のいない孤独な少年」だったホームズなのに、
 学校を去るときには大勢の友人たちに見送られていたのが、とても印象的でした。
 もちろん、ワトソンとの友情は、たとえ離れたってゆるぎない、というのも。

・「学校は豆のさやみたいなもので、その中にはいい豆も悪い豆もいる」
 みたいなセリフがホームズ譚にあったような気がしたのですが、
 ほかの物語と間違っているかもしれない(^^;

・今回一番すごいなーと思ったのが、2階の窓からホームズを見下ろす場面。
 見上げるホームズの姿と広がる地面が見えるんですよ。
 だって、人形劇ですよ?
 なぜ「地面」があるんだ!
 (つまりカメラアングルで繰演の人を巧妙に隠しているわけですよね)


1年間、本当に楽しく拝見してきました。
願わくば、大河ドラマが終わったら「空き家の冒険」やってください。
特別編扱いでも構いませんからv

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三谷幸喜版『シャーロックホームズ』第17回

2015年02月08日 | ベーカー街界隈
NHK Eテレ『シャーロックホームズ』

今回の原作は「マザリンの宝石」。
グラナダ版だと日本での放映の最終回だった話ですね。
そのためか、「宝石の盗難事件」ということと
シャーロックがいなくてマイクロフト大活躍だった、ということしか
覚えていなかったという…グラナダの影響力強すぎ(笑)

そこで、全訳をアップしているサイト(ここ)に確認に行ったら、
ダミー人形も「夕食は6時半。あさってのね」も原作準拠だったので
笑ってしまいました。三谷さんうまいなあ。
犯人が大事な物を持って歩いていた、というくだりもですが。
(ということは、コアラの置物はサムの代わりですか)

しかしその後が急転直下、ホームズが脅迫事件の容疑をかけられる、
というのは、もしかして『SHERLOCK』準拠なのでしょうか。
とりあえず2階から「飛び降りた」し(^^;

それでも、ちゃんとワトソンに
「何があっても僕のことを信じていてくれ」
と言いに来る辺り、まだBBCのシャーロックより友達思いなのでした。

次回はいよいよ最終回「最後の事件」。
いまのところモリアーティよりマイクロフトの方が黒幕っぽいんですけど、
どういう風に決着をつけるのか、楽しみです。
 



 


さて、人形劇の方は「15歳のホームズ」ですが、
こちらは「93歳のホームズ」ですよ! >>> 映画『ミスター・ホームズ』ポスター
かっこよすぎて身震いがしますが、ホームズってそんなに長生きした設定だったのか。
そして、今やあれですね、ディア・ストーカーとインバネスじゃなくても
ちゃんとホームズに見える、というところにもちょっとした感動を覚えますね。
ジェレミー・ブレットの功績は大きいなあ。

しかし、イアン・マッケラン…ツイッターやってるんだ。すごいな。

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三谷幸喜版『シャーロックホームズ』第16回

2015年02月01日 | ベーカー街界隈
NHK Eテレ『シャーロックホームズ』


今回の放送の1時間くらい前まで、同じくEテレで
三谷幸喜演出舞台『抜目のない未亡人』を観ていたので、
今日はすっかり三谷幸喜三昧の休日となりました(笑)
これでまだ『サンサンサンデー』があって「コウコウコウキー」やっていたら
抜け出せない勢いでしたでしょうね。
(注:『サンサンサンデー』=大泉洋さんのHBCラジオ。すでに終了)
(  「コウコウコウキー」=その中の三谷幸喜さん登場のコーナー)


今回は原作が「恐怖の谷」なのだそうですが、
私、読んだはずなのにまったく記憶がなかったので、
いつも以上に展開が読めず、推理部分も含めて大変楽しめました。
今回ばかりはちゃんと殺人事件でしたねえ。学園の外でしたけど。

そして、外の世界を見たために、子どもである自分自身の無力さを思い知るホームズ、
という展開に、あと2回だし最終回は「最後の事件」だし、と思うと、
彼らと別れる寂しさをじわじわと感じ始めているのです。
先行放送から数えると1年近く楽しませていただいていましたものね。
ホームズもワトソンも、仕草や表情がホントに豊かだし、
早くも「空き家の冒険」が待ち遠しい!(ないと思いつつも若干期待v)


…それにしても「その話は長いんですか」「長編小説の半分くらい」には爆笑(^^;
いや確かにそーなんだけどー(ホームズの長編はたいてい半分が過去の話)。

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三谷幸喜版『シャーロックホームズ』第15回

2015年01月26日 | ベーカー街界隈
NHK Eテレ『シャーロックホームズ』


さっき気弱な「誰に読ませる気だこれ」な文章を上げてしまったので、
削除して仕切り直します。うっかり読んじゃった方ごめんなさい。


もう15話まで進んでしまった人形劇版『シャーロックホームズ』。
あと3話しかないのは寂しいです。

今回の「三破風館」は、たぶん「青い紅玉」も混ざっていたと思いますが、
なかなかミステリアスな展開で面白かったv
手がかりを一つ一つたどって真相に近づいていく由緒正しき探偵物語でした。
ホームズが賢いし正しいんだけど、女子と不正に厳しすぎて子どもっぽいとか、
ワトソンが、友人を守りながらも、彼の悪いところはきっちり叱り飛ばす、
という男前な活躍を見せるとか、おおっと思いました。
メアリーに出会ってから、ワトソンすごく成長していますね。
それと、これだけ遠慮なく言い合えるようになっているところに、
ホームズとワトソンの友情の深まりも感じます。

あと、人形の繰演(という字でいいのかな?)の方々がホントにすごいし、
ホームズの手がとてもきれいだし(人形だからとはいえ)、
細かいところまで楽しめました。


そういえば、グラナダでもホームズとイサドラ取っ組み合ってた(^^;




さあ、次はいよいよ学園の外で殺人事件が発生します。
「恐怖の谷」…うわ、まったく覚えておりません…。
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ポワロさんとの休日

2015年01月24日 | ベーカー街界隈
というわけで、今日は朝に雪かきと洗濯をした後、
午前中はNHK-BSで昨年放送された『さよならポワロ!』を拝見し、
午後はベッドで『ポアロとグリーンショアの阿房宮』を読んでいました。
掃除はその後(笑)
 


***
 


『さよならポワロ!~世界が愛した名探偵・25年の軌跡~』

ポワロ役を25年務めたデビッド・スーシェ氏が、
思い出深いロケ地やベルギーのブリュッセル、オリエント急行、
そしてクリスティーの夏の別荘グリーンウェイなどを巡りながら
25年の思い出を語る特別番組。
東京の妹が録画してくれていたのですが、
郵送してくれるまで3か月かかり(笑)
それを観るまでさらに1か月かかったという(かかりすぎだ)。

それにしても、感慨深く拝見いたしました。
スーシェさんの役作りの様子はもちろん、
テーマ曲を作曲した方の話も興味深かった。あの曲、ピアノで弾きたいですね。

一番嬉しかったのは、ベルギーの人々がポワロを愛してくれていること。

 「誇りです。英国人に解けない謎を解く」

と言ったブリュッセル市長さんに、ちょっと笑いつつ感動。
もちろん、スーシェさんのことも大歓迎していました。

最終回の『カーテン』を先に撮り、陽光あふれるグリーンウェイでの
『死者のあやまち』の撮影を最後に撮ったというエピソードも素敵でした。
グリーンウェイの前での記念撮影の晴れやかなこと!
『アガサ・クリスティーの秘密ノート』の著者ジョン・カラン氏も登場し、
充実した内容でした。

一つだけ残念だったのは、イギリス本国での制作でしたので、
海外での吹き替え版として紹介されたのがフランス語版とドイツ語版のみだったこと。
日本語版の熊倉一雄さんは、本当に名演でしたので、紹介して欲しかったなあ。
(日本語で話すポワロ、という段階で違和感が大変なんでしょうけどね)
 


***
 


『ポアロとグリーンショアの阿房宮』
    アガサ・クリスティー著 羽田詩津子訳/ハヤカワ文庫


(注:早川書房は伝統的に「ポアロ」表記なのです)

この間書店で見かけて速攻で購入。
後からよく見たら、今年の1月15日に刊行されたばかりの本でした!

クリスティーが中編として書いたのに、諸般の事情で刊行されず、
あとからプロットをほぼそのままに、長編『死者のあやまち』として出した、
という本作は、クリスティーの別荘グリーンウェイが舞台のモデル。
つまり午前中にDVDで観たグリーンウェイの様子や
劇中のお祭りの風景がそのまま出てきたのです。なんという偶然!

「まえがき」ではクリスティーの孫マシュー・プリチャード氏が、
ドラマの撮影風景についても言及していますし、これは何のご褒美だ、と思うほど。
「あとがき」はジョン・カラン氏だし、大変楽しかった。
もちろん、物語自体の内容もさすがクリスティーでした。
何がすごいって、自分がモデルのオリヴァ夫人について、

    どぎつい卵の黄身色のツイードの上着とスカートに、
    ぎょっとするようなマスタード色のセーターという格好だった。

とか書いちゃうことですね(笑)
女性作家的には、もっと美人設定で書きたくなると思うんですけど、
そんなはしたないマネはしない、というところが好きですv

グリーンウェイは、いまナショナル・トラストが管理していて、
見学自由になっているそうですよ。
もしもかなうなら、いつか行ってみたいですね。

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