『終わりなき夜に生れつく』 アガサ・クリスティー著/クリスティー文庫(早川書房)
※ネット上のあちこちにネタバレの落とし穴があるので、ご注意!
2010.12.06 撮影
以前、『アガサ・クリスティーの秘密ノート(下)』を読んでいたときに、
「『終わりなき夜に生れつく』は先に読んでおけ」と書かれていて、
以来ずっと読みたかった本です。5年越し(^^;
今回、札幌出張の際に紀伊國屋書店で見つけて即購入。
そのままホテルやJRの車内でずーっと読み続け、1日半で読み終わりました。
クリスティーの恐ろしさを、改めて思い知らされました(^^;
新訳のためか、文体が軽やかで現代的。
今で言う「フリーター」の「僕」の気質に合った語り口です。
何となく
『そしてミランダを殺す』を連想するのは、
「僕」がずっと家を建てているからでしょうか(テッドもそうだった)。
若い二人の恋、楽しい新婚生活、それでいて、そこはかとなく漂う不穏な空気。
そもそも巻頭に掲げられているブレイクの詩自体が、悲劇を暗示しているよう。
それにしても、「そう来るか」な展開には恐れ入りました。
これまでもいくつかの作品で使ってきた設定やアイディアやトリックを
より洗練させているし、人物も記号的ではなく生き生きしています。
クリスティー本人の自信作だったというのもうなずけるというものです。
さて、これで『秘密ノート(下)』が最後まで読めるわv