『アメリカン・ギャングスター』 (リドリー・スコット監督作品)
今日は父の誕生日でしたので、
以前から観たがっていた『アメリカン・ギャングスター』を
二人で観てきました。
デンゼル・ワシントンが、ハンサムでスマートな麻薬王。
ラッセル・クロウが、くたびれた雰囲気を醸し出す刑事。
デンゼル・ワシントン演じるフランクは、
ベトナム戦争の最中に、現地から純度100%の麻薬を仕入れ、
それをあろうことかアメリカ軍の貨物機で国内に運び入れて
「品質のよい商品を安く提供する」ことで
一躍富を築き上げます。
そして、美しい妻、深い絆で結ばれた家族とともに、
基本的には品行方正な、地味な生活を送ります。
一方、ラッセル・クロウ演じるロバーツ刑事は、
多くの警官が手を染める汚職や麻薬の横流しなどに対し、
強い正義感で敢然と背を向け、賄賂なども一切拒否し、
そのために冷や飯を食わされるという理不尽な目に逢います。
妻や子にも去られ、家庭生活は崩壊し、
それでも司法試験に挑戦するなど、仕事への情熱は人一倍。
その正義感の強さを買われて、麻薬捜査官に抜擢され、
フランクを追うことになります。
この映画を紹介したとき、おすぎさんは、
「女性は、ロバーツよりもフランクに肩入れすると思う」
「だって、スマートだしかっこいいし、悪の香りが魅力的だから」
というようなことを話していましたが、
私は断然、ロバーツ刑事を応援してしまいました。
ラッセル・クロウに肩入れしたのは初めてなんですけども(笑)
(見た目は全然好みじゃないですからねえ、ラッセルさん)
だってさ、セレブといえるフランクの夢のような生活は、
多くの人々の犠牲の上に成り立っているわけなんですよ。
これって、すごく腹が立つことじゃないですか。
フランクが、人柄としては誠実で剛胆で愛情深い、
つまり魅力的な人物だというのも、かえって腹が立ったりして。
彼が、感謝祭の素晴らしいディナーを家族と囲んでいるとき、
ロバーツ刑事は一人で、適当なサンドイッチを作っている、
という場面が、鮮やかな対比で印象的でした。
それにしても、ベトナム戦争の裏側で、
こんなことが本当に行われていた、というのは、何ともはや。
いまも、もしかしたら、麻薬とは言わないまでも、
アフガンやイラクでうまい汁を吸っているヤツらがいるんじゃないかしら、
と思ってしまったりもするのです。