『世界の家の窓から』 主婦の友社編
副題は「77か国201人の人生ストーリー」。
ベルギーのデュリオさんが立ち上げたサイト「VIEW FROM MY WINDOW」を
まとめた英語版書籍をベースに、日本で独自に編集したもの、ということです。
2020年から22年にかけて、世界中がロックダウンを行う中、
「自宅の窓からの風景を写した写真1枚に、
状況を説明するコメントを添えて投稿して、世界中の人々と共有する」
というシンプルな趣旨を掲げて開かれたサイト。
そこに世界100か国以上から312万人を超える人々が参加しているとのことです。
私は、この日本版が出版されて、その記念フォーラム?にデュリオさんが来日した、
というNHKのニュースを見てこの本を知りました。
本に掲載されているこいのぼりの写真を示して
「これを撮ったのが私です」と自己紹介した日本人女性に
デュリオさんが大喜びしていた様子が印象的でした。
早速書店に探しに行ったところ、
表紙の「窓からのぞくヤギ」(スウェーデン)がかわいらしくて、中身も見ずに即購入。
それからゆっくりじっくり読んでいました。
最後のページは「朝焼けを眺めるレトリバーの後ろ姿」(アメリカ)。
そのヤギからレトリバーまでの間に、世界中の眺めや暮らしや人生が詰まっていました。
個人的に好きなのは、「道いっぱいに走る自転車レースの選手たち」(イタリア)の
次の写真が「道いっぱいに歩く羊の群れ」(イタリア)だった並びの妙。
とは言え、どの写真も、都会の路地も砂埃舞う荒地も花であふれる庭も、心に残りました。
私が見たことのない風景の中でも、人々は、私と同じように暮らしている、と感じました。
2020年に始まったパンデミックは、多くの混乱と分断を生みましたし、
私たちの社会が危ういバランスの上に建っていたことを実感させました。
その一方で、世界中が同じ状況にある連帯感もあったなと、今となっては思うのです。
もちろん恐ろしい苦労や悲しみが、今も続いていることを忘れてはならないのですが。