新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

東京藝大美術館の2展は心穏やかに観られなかった(その3)

2016-05-25 21:47:52 | 美術館・博物館・アート

「東京藝大美術館の2展は心穏やかに観られなかった(その2)」のつづきです。
3回で終わりそうもありませんので、遡ってシリーズのタイトルを変更しました。

昨夜のNHK「ニュースウオッチ9」で、2001年タリバーンによって完全に破壊されたバーミヤンの大石仏の頭上にあった天井壁画復元され、それが、反テロの象徴として伊勢志摩サミットで先進各国首脳に見てもらうことになったというニュースが流れていました。

この復元は、1970年代の京都大学中央アジア学術調査隊による調査結果と撮影された写真をもとに復元図を作成し、さらに、東京藝術大学が他の調査・研究結果を盛り込んで行ったのだとか。

その京都大学隊が撮影した天井壁画の写真がこちら。

すでに大仏のお顔は削り取られていたんですな

「バーミヤン 大仏天井壁画~流出文化財ともに~」では、天井壁画立体的に再現されていて、かつ、東大仏から見えていたであろうバーミヤンの風景「再現」されていました。

 壁画のメインとなっているのは、ギリシア由来と考えられる、

四頭の有翼の白馬に曳かれる馬車に乗って、天を駆ける太陽神

で、その周りの図象は、インドペルシアなど、東西の文化が融合したものなのだとか。

その文化的価値の大きさときたら、想像を絶するものがあるのに、「偶像崇拝禁止」を理由に破壊してしてしまったタリバーン蛮行は、およそ理解の域を超えています。

会場内で流されていたドキュメンタリーによれば、タリバーン内にも大仏の破壊反対した人がいたそうですが、それ以前に大仏のお顔が削り取られていたこと、他に展示されていた壁画などの仏さまのお顔の半分くらいが、明らかに人為的に傷つけられていたことからすれば、タリバーンよりずっと前から、異文化・異教の抹殺が行われていたことが察せられました。

敵対する人々を殺すことは、許しがたいけれど、歴史的には必然といえるかもしれないけれど、他人が信仰・崇めるものを破壊する行為は別の意味で卑劣かつ卑怯な行為だとつくづく思ったのでありました。

つづき:2016/05/29 東京藝大美術館の2展は心穏やかに観られなかった(その4)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする