水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

足らないユーモア短編集 (95)トラブル

2022年09月27日 00時00分00秒 | #小説

 トラブルが生じるには、生じるだけの理由がある。その理由を取り除けばトラブルは生じなくなるのだが、その理由を知ろうとする注意が散漫で足らないと、トラブルとなる。トラブルはトラがブルブルと震(ふる)えながら大きく口を開けた感じだろう。顔見知りなら、トラもそう怖がらさないだろうが、一面識もなければ、ガォ~~!! と大口を開かれ、食われることになる。^^
 とある道路である。オリンピックの聖火リレーが走るらしく、至る所で交通規制が実施されている。
「あっ! すいませんねっ! 聖火リレーが走りますんで、アチラの道を…」
「コロナでもやるんですかっ! 東京がロックダウンしないことを祈ってますっ!」
「あっ! どうもっ!」
 ボランティア係員の青年は、内心で、そうだな…とは思ったが、係員ということで同調できず、スルーして暈(ぼか)した。
 聖火リレーは無事に走り去り、事なきを得たが、ボランティアの青年はオリンピックの開催中にトラブルが起きないことを、ただ祈るのみだった。
 トラブルが生じないための対策は、用意周到でも足らない場合が多いから、要注意する気構えが求められる。WARNING[警告]! だ。^^

                   完


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