水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

足らないユーモア短編集 (77)不用

2022年09月09日 00時00分00秒 | #小説

 公会計の決算書には不用額という欄がある。この不用という意味の理解が足らないと、予算のムダが生まれ、ダラダラ ~と出血し、やがては死に至る・・ということはないが、^^ 財源が足らないっ! と四苦八苦することになる。すると足らない財源を補う国債発行、その利息支払いの二次国債発行となり、ドンドン国はその償還に困ることとなる。いや、現在、すでになっている。^^
 国のとある省庁である。
 朝から主計に携わる係官がその上司と問答をしている。
「どうなんですかねっ!?」
「なにがっ!?」
「この不用額の多さですよっ!」
「心配しなくても、上手(うま)い具合に年度末には予算執行率が100%で、不用額はほぼゼロじゃないかっ! わははは…」
 上司は、ははは…に、[わ]を足して大きく笑った。
「でも、こんなことで、いいんですかねっ!?」
「わははは…いいんだよ、君っ! 俺達、雑魚(ざこ)が喚(わめ)いたって、どうなるってもんでもないじゃないかっ! 国のトップの見識が足らないんだから…」
「それもそうですね…」
「そういう不用の見識は捨てなさい…」
「はい…」
 二人は沈黙して、それぞれのデスクへ戻(もど)った。
 トップの不用に対する見識が足らないと、国は失速する。墜落せず、失速するだけならいいんですがねっ!^^

                   完


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