水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

足らないユーモア短編集 (81)頭(あたま) 2

2022年09月13日 00時00分00秒 | #小説

 (23)でも書いたが、頭(あたま)は足らないより足りた方がいい。^^ お馬鹿よりも賢(かしこ)い方が、いいということだ。むろん、頭がいいT大出身でも落ち零(こぼ)れる方もいるから、全(すべ)てが全てということではない。一般的に誰が決めた訳でもなく、そうなっているというだけの話だ。ただ、頭が足らないからといって世渡りがダメということでは決してない。むしろその逆も相当数いるのが現実だ。
 どこにでもいるような二人の中年男が語り合っている。話し合っているのではなく、持論を展開して語り合っているのである。ただ二人とも、持論を展開するほどの男ではない。^^
「俺は頭が足らんからよく分からんが、いい方向に行っているようには思えん」
「お前の頭は十分、足りているさ。そう思うのが順当だ。俺もそう思っている」
「どうも先行きはジリ貧だな、この国…」
「そうそう! お上のなさることは、すべてが裏目っ! 元号はこの国だけの話だからともかくとして、オリパラは舞台が世界だしな。無事に終わって元々、失敗したら未来永劫、歴史に汚点を残すぜっ!」
「開催を新型コロナが終息するまで凍結するよう、IOCに提言は出来んのかっ!?」
「俺に言われても…。それよか、新型コロナは終息できんのかっ!?」
「俺に言われても…」
 二人はお通夜になって黙り込んだ。
 頭が足りる人は究極の終結点を考える人である。ということは、私達は頭が足らない・・ということになる。^^

                    完


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