水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

足らないユーモア短編集 (84)ケア

2022年09月16日 00時00分00秒 | #小説

 ケアが足らないと、物の寿命は縮まる。人も生きた物だから、当然、使っているうちにケアが必要になる。通院など自分でケアできるうちはいいが、自分でケア出来なくなれば困ることになる。最近では、ケアのシステムも進んでいて、至れり尽くせり、とまではいかないものの、それ相応のケアを受けることが出来るようだ。
 とある公園のベンチで話す二人の老人…この老人達は、この短編集を含め、他の短編集にも登場した顔馴染みの二人である。^^
「65からでしょ! アレにはあんたっ! 腹が立ちましたよっ!!」
「そうそうっ!! 年金を満額もらえるから増えると楽しみにしとりましたら、介護保険料ですっ!」
「65までと比べれば、あんたっ! ほとんど増えとりませんでしたっ!」
「私なんか、逆に手取り[可処分所得]が減りましたよっ!」
「65以上の介護保険料は累進課税[段階的{一年ごと}に税金が高くなる]にしてもらうと助かるんですがな…」
「国のケアは何かが足らない…」
「足らないといえば昨日のラーメン、味が今一でしたなっ!」
「そうそうっ! 昔風のラーメンは具は少なかったですが味が濃かった!」
「濃いのに諄(くど)くなく美味(うま)かった!」
「ケアも、そうあって欲しいものですなっ!」
「さようで…」
 ケアは具が少なくても味が濃くありたいものだ。^^

                   完


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