水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

足らないユーモア短編集 (86)お釣り

2022年09月18日 00時00分00秒 | #小説

 買い物をすれば、当然、お金を支払う。クレジットカードやキッチリと支払えるお金があればいいが、そうでなければ、多めのお金を渡してお釣りをもらうことになる。問題は、そのお釣りが足らない場合だ。気にしない人はそれでいいのだろうが、気にする人は悩むことになる。今日は、そんな馬鹿馬鹿しいお話である。^^
 雑賀(さいが)はその日も、とあるスーパーで買物をしていた。買い物を済ませ、持ち合わせた袋に買った品を入れ、手にしたお釣りを財布に入れようとした。もらったレシートのお釣りは¥148と印字されていたが、どういう訳か、手には¥143しかない。¥5足りないのである。記憶ではレジのあと、確かに¥143を手にした記憶があった。大勢の人がいる店の中で、おいっ! ¥5、どこへいった! と怒る訳にもいかない。雑賀は、まあ仕方がないか…と諦(あきら)めて店を出ることにした。かくして織田軍による雑賀攻めの攻略戦は成功したのである・・ということではなく、単に雑賀の早とちりだったのである。¥5がポケットの片隅(かたすみ)で、『私は、ここですよっ!』と、不満を漏(も)らした。
 まっ! そんな馬鹿な話はない訳ですが、得てして、お釣りが足らない場合、落としたのでなければ、どこかに入って眠っているケースが多いようです。^^

                   完


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