水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

足らないユーモア短編集 (80)原因

2022年09月12日 00時00分00秒 | #小説

 どうも朝からパソコンの調子が悪い…と思っていたら、その原因はマウスの不調だった。物は長年使用していると、どこかに狂いが生じたり、摩耗、故障といった症状が出る。劣化である。人も同じで劣化して病院通いとなる。まあ、薬もらい程度ならいいが、身体のケアが足らないで寝込みでもすりゃ、これはもうどうしようもない。そこはそれ、原因を突き止め、足るようにしたいものだ。^^
 蚊取は朝からボリボリと手や足を掻いていた。なぜだろう…とは思うのだが、今一つ、その原因が分からない。まあ、いいか…と放っておいたのが悪く、夕方からはボリボリボリボリになっていた。蚊取は線香を燻(くすぶ)らせたが、まったく要領を得ず、ますますアチラコチラと痒(かゆ)くなる。することは他に幾つかあったが、夜にやることもないか…と、Go back![撤退!]を決め込んだ。^^
 翌朝、このままでは…とボリボリやりながら、蚊取は原因を探った。すると、昼過ぎになり、原因は割合単純だと分かったのである。蚊取は睡蓮(スイレン)を毎年、睡蓮桶で育てていたが、その睡蓮桶の水に蚊のボウフラが湧いていたのだった。『なんだっ! ここかっ!』と、蚊取は留飲を下げた。蚊取は香取の神さまではなく、やはり思慮の足らないただの人だったのである。^^

                   完


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