10数年前の話ですが、当時通っていた職場の最寄り駅は練馬駅でした。
最寄り…と言っても、飲屋街を抜けて結構歩いた図書館の裏。
そのあたりは飲食店も少なく、毎日昼時はランチ難民でした。
駅近くまで行けば沢山のお店が有るのですが、結構早くに満員になるので
毎日午前11時半にチャイムが鳴る様に設定し、速攻で出撃していました。
そんなある日、ラーメン店開店のお知らせが。
職場から歩いて3分程の所にできた小さなラーメン屋さん。
目新しいので早速仲間と行ってみたのが
しょう油トンコツラーメン匠家でした。
今程トンコツラーメンが乱立していなかった頃で、
とんこつと言えばいわゆる極細麺の「博多天神」や「なんでんかんでん」、
しょう油とんこつと言うと和歌山ラーメンの「まっち棒」くらいしか知りませんでした。
家系などという言葉も聞いた事の無い頃、
初めての家系の流れのとんこつラーメンに出会った最初のお店です。
無口な店主が丁寧に麺を茹でていました。
二つの網に分けられた麺は茹で時間を変えて、丼の底に固めの麺を
そして上には食べ頃に茹でられた麺を二重にしてくれました。
熱いスープの中で麺が延びることを想定し、底の麺は固め…
この配慮に驚きました。
中太の麺に絡むしょう油トンコツスープの美味さに
秘伝のタレを加えるとさらにコクが増します。
クラッシャーと共に置かれたつぶのままのニンニクも新鮮。
しかし、職場が引越してしまい、更には職も変わってしまったので
匠家にも行く事はなくなりましたが、先日わざわざ出向いてみました。
そこには10数年前と変わらず無口な店主が黙々とラーメンを作っていました。
当時必ず頼んでいた「キャベツラーメン」を注文。
昨今のラーメン店はほとんどが食券制ですが、ここは食後に支払いです。
開店当初とは違い、麺を茹でるのも1度で済ませていましたが、
濃厚すぎず、丁度良い優しい味のスープは変わらないどころか
嫌な臭みもなくなり確実に進化していました。
あの頃の懐かしい味を思い出した宵でした。
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