OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン

2020-01-19 23:50:44 | 労務管理

2019年5月に「厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン 」が2040 年を展望した社会保障・働き方改革本部」から示されています。プランの背景及び趣旨としては、次の通りとされています。

 平成 18 年以降のフリーター・ニート等を対象とした再チャレンジ施策や、経済環境の 変化等により、就職氷河期世代1に概ね該当する現時点で 35 歳~44 歳の層の就業状況は、10 年前(当時 25 歳~34 歳)と比べ、フリーター等の数は約 36 万人の減少、無業者数は 概ね横ばいとなっている。(他の世代と同水準)。一方、引き続き不安定な就労、無業の状態にある方も一定数おり、そのような方につい ては、学卒時に不安定な就労、無業に移行したことや、就職できても本来の希望業種・企業以外 での就職を余儀なくされたことによる早期離転職等により、概して能力開発機会が少なく、企業に評価される職務経歴も積めていない。また、加齢(特に 35 歳以降)に伴い企業側の人事・採用慣行等により、安定した職業に 転職する機会が制約されやすい。不安定な就労状態にあるため、収入が低く、将来にわたる生活基盤やセーフティネットが 脆弱といった課題を抱えられていると考えられる。

1993年から2003年までの就職氷河期に社会に出た世代(1970年~1980年に生まれた世代・現在大卒でおおむね40歳~50歳)である就職氷河期世代は非正規雇用労働者も多く、この世代を中心に「フリーター・ニート」という言葉が生み出されています。この世代は、その就職期が、たまたまバブル崩壊後の厳しい経済状況にあったために、未就職、不安定就労等を余儀なくされ、引き続きその影響を受けているものであり、政府としてその活躍に向けて支援していく必要があるということです。

 厚生労働省の「労働経済の分析(平成12年版)」よればフリーターの数は2000年で193万人とされ、内閣府の国民生活白書(平成15年版)によれば「1990年の183万人から年々増加し、2001年には417万人となっている。1534歳の若年人口の9人に1人(12.2%)、学生、正社員以外の主婦を除いた若年人口全体の5人に1人(21.2%)がフリーターとなっている。」とあります。この就職氷河期世代が社会に出た時から既に20年以上が経過し、現在40歳~50歳の働き盛りの年齢となっているが、フリーターの高齢化も懸念されているところから上記プランが策定されたということになります。

社会保障の分野では、国民年金の保険料の納付特例がありますが、2005(平成17)年の制度創設当初は若年者納付猶予制度といわれ30歳未満の年齢制限があったものの、2016(平成28)年より50歳未満に拡大されています(2025年6月までの時限措置)。しかし、無業・フリーターの時期が長期であればあるほど、年金額に反映されない納付猶予期間も長期化している可能性があり、さらに10年以内に限る追納制度及び一定期間後の加算制度はハードルが高く、猶予された期間がそのまま保険料滞納期間に結びつく可能性が高いと思われ検討の余地があるように感じます。

昨日は恒例のBBクラブの勉強会があり、法改正やその時どきの旬なテーマ(今回は民法改正のうち「時効」を中心に受講生OBの息子さんである岩田憲明先生が講師でした)を学び、また私の講師1年目の受講生である竹内さんの開業体験談、私の大学院の報告(30単位取得のスケジュールや修士論文の取り組み)など盛りだくさんの内容だったと思います。

それにしても毎回100人を超える方の参加があり、2次会でないとなかなかゆっくりお話しできないということもあるのですが、それでも元気そうな顔を確認し、ちょっとした近況を聴くことができて本当にBBクラブを作って良かったと思います。第1回目から数えて今年で19年目ということになります。20周年を迎える来年は、幹事さんと一緒にいろいろ企画をしてみようと思っています。

各団体の新年会も多くまだ何となく年末年始のお休み気分が抜けないという感じですが、そろそろエンジンをかけて日常のペースを取り戻したいと思います。