OURSブログ

社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

過重労働防止への監督強化について

2016-03-06 22:26:53 | 労務管理

平成28年度、労働基準監督官の増員が拡大されるというニュースが労働新聞に載っていました。増員数は例年のほぼ二倍の22人が予定され、全国の労働基準監督官数は3,241人になるそうです。この増員は働き過ぎ防止や過労死防止対策を重点に監督指導を強める方針となっています。増員される監督官の配置については、過重労働に関する違反が目立つ大都市圏の労働基準監督署が中心ということです。

この監督官の増員により、月100時間を超える時間外労働を行わせているすべての事業場に対する監督指導を徹底することと、過労死などによる労災請求があった事業場に対する重点的な監督指導を展開するようです。

先日、昨年に引き続き渋谷労働基準協会さんの36協定集中講座を担当させて頂いたのですが、36協定の話は3時間が足りないくらい色々な要素を含んでいます。終了後ご質問に長い列ができ、中でも特別条項の設定のご質問は多かったと思います。上記月100時間を超える時間外労働を行っているかどうかは36協定の特別条項を見て調査に入るということは多々あるかと思います。それだけではなく時間外労働抑制の効果を考えてもやはり36協定の作り方は重要だと思います。最近の書類送検の案件でも、36協定の過半数代表者の選出が不適切(会社が指名していた)など36協定の違反が多くみられます。適切な36協定を締結できるよう企業にアドバイスするのは社労士の大事な役目だと思っています。

労基法は、上記過重労働対策がある程度前提で改正されるのだと考えますが、塩崎厚生労働大臣は積み残しとなっている労基法改正案の確実な審議を求めたそうです。平成28年度も引き続き労働時間の問題は大きなテーマになりそうです。

今週末は、2泊3日で東京都社会保険労務士会の海外研修に上海に行ってきました。あちらではいま日本と行き来しながら弁護士活動をされている向井蘭弁護士と上海の弁護士で日本にも留学経験のある張弁護士の講義を受けました。3、4年前と異なり日本企業現地法人は状況が厳しいところがあるということや上海では希望退職を募ると優秀な人から辞めていくので希望退職を募ることはできないなど、やはり日本ではなかなか聞くことのできない現地ならではの情報を聞けて興味深かったです。

上海は昨年の夏に行ったばかりでしたので最終日の朝は早く起きてしまったこともありホテルの周りを一人で歩いてみました。あちこちの公園では日本のラジオ体操のように主に中年から老年にかかった女性が集まって太極拳をしていました。かなり遠くまで歩いてしまったので一人で地下鉄に乗ってホテルに戻りちょっと周りに驚かれました。

外灘  朝の公園