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社会保険労務士としての日々の業務を行う中で、考えたこと、感じたこと、伝えたいことを綴る代表コラム。

事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン

2016-03-21 23:08:56 | 労務管理

2月23日に厚生労働省から発表された「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」には、がんや脳卒中などの疾病を持つ労働者が、治療を行いながら職業生活と両立できるようにするための事業場の対応を取りまとめたもので、特に最後に「がん」についての留意事項が詳しく示されています。

ガイドラインには、「近年の診断技術や治療方法の進歩により、かつての『不治の病』の生存率が向上し、労働者が病気になったからと言って、すぐに離職しなければならないという状況が必ずしも当てはまらなくなってきているが、疾病に対する労働者自身の不十分な理解や、職場の理解・支援体制不足等により、離職に至ってしまう場合もみられる。」とされています。

「例えば、糖尿病患者の約8%が通院を中断しており、その理由としては「仕事(学業)のため、忙しいから」が最も多くなっている。また、連続1 か月以上の療養を必要とする社員が出た場合に「ほとんどが病気休職を申請せず退職する」「一部に病気休職を申請せず退職する者がいる」とした企業は、正社員のメンタルヘルスの不調の場合は18%、その他の身体疾患の場合は15%であり、過去3 年間で病気休職制度を新規に利用した労働者のうち、38%が復職せず退職していた。」ということです。

治療と職業生活の両立支援に際しては、就業場所の変更、労働時間の短縮等の適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行うことが就業の前提となるるわけですが、それらを適切に行うのは患者、医療機関の関係者、事業場関係者などが情報を共有して対応していく必要があります。ガイドラインには、「両立支援にかかわる関係者間の連携の重要性」として以下のように示されています。

治療と職業生活の両立支援を行うに当たっては、労働者本人以外にも、以下の関係者が必要に応じて連携することで、労働者本人の症状や業務内容に応じた、より適切な両立支援の実施が可能となること。
①事業場の関係者(事業者、人事労務担当者、上司・同僚等、労働組合、産業医、保健師、看護師等の産業保健スタッフ等)
②医療機関関係者(医師(主治医)、看護師、医療ソーシャルワーカー等)
③地域で事業者や労働者を支援する関係機関・関係者(産業保健総合支援センター、労災病院に併設する治療就労両立支援センター、保健所(保健師)、社会保険労務士等)  (以後略:詳しくは以下URLを参照してください)

ここで「社会保険労務士」が関係者の中に記述されたことは社労士の認知度が高まっていることを示していると思われます。確かに医師や看護師等の医療関係者の認識の中に「社会保険労務士」の存在はしっかりあるようで、最近大病院や町の診療所に行って職業はと問われ「社会保険労務士です」というと一様に少し驚かれるというか「オッ」という感じで感嘆されるような気がしています。そういう状況の中でこの分野でも活躍する社労士がどんどん育っていく環境を整備していくのが自分の役割ではないかと考えています。

「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000113625_1.pdf

この連休は完全休日の最終日以外はかなりの仕事をこなし、山手統括支部の予算を考えるのに時間を使いました。特に2日目は就業規則のリーガルチェックを終わらせるために終日PCの前にいたのですが、そういう日は夕飯の買い物がてら駅ビルの中にある本屋に行くのがものすごい楽しみなのです。高校時代から本屋に行って本を眺めてワクワクしていたため、大学受験の時にいろいろ考えた末やはり本好きなら日本文学科が良いであろうと思い受験をしたくらいです。

この週末も忙しいのはわかっていたのですが、2冊購入してしまいました。「佐藤オオキのスピード仕事術」と「マンガでよくわかる怒らない技術」の2冊で、あっさりマンガの方は昨晩読み切りました。「怒らない…」は勉強になりましたがうまく実践できるかは未知数です。「確かに~」と思うことはありました。引き続き読み始めた「・・・スピード仕事術」はかなり自分の考え方と近いものがあるような気がしています。たとえば著者は同時に400件のプロジェクトを動かしているということなのですが、ものをいうスピードは純粋な処理能力ではなく「同時処理能力」だということなのです。「いろいろなことを並行して考えたり進めたりできるような工夫や環境づくりこそ重要」と書かれてあるのですが、社労士のようにたくさんの法律や顧問先に対応していく場合の考え方に近いように感じながら読んでいます。