FXと暗号資産(Crypto)とゴールド(金)についての随想です。コメント欄は承認制になっています。
やまはFX・Crypto



若林栄四氏の2月円安転換説がとりあえず当たったということでまずはめでたいことだ。氏の存在を初めて知ったのは2007年にさかのぼる。当時2チャンネルの市況2板の一部で有名だったコテハンの大阪のおっちゃんという相場師がいた。彼のトレードは豪快で、相場の天底で5本(500枚)とかを一気に張ってその後、利食うまで放置というものだった。その彼が、評価している相場師として、若林の名前をあげていたのだ。その後、ネットでも時々、若林氏の名前に気をつけるようにしていた。この記事は2007年11月、サブプライム危機の真っ最中の氏のインタビュー記事であるが、どう思われるだろうか。私はずっとこの記事の内容は頭に入れてトレードしてきた。戻りは115円までは行かなかったが、2011年に大底というだいたいの流れは正確に捉えていたと評価できる。

私が氏を評価するのは、サイクルのとらえ方もさることながら、サイクルを元にファンダメンタルを加味してその理由付けをする能力である。一番その氏の能力が現れているのは2004年12月に刊行された『黄金の相場学2005~2010』である。amazonで古本で1円で買えるので、一度ご覧いただきたい。

黄金の相場学 2005~2010
講談社


2007年に出た改訂版(文庫)も古本で安いので、こちらでもいいだろう。

黄金の相場学 (講談社+α文庫)
講談社


この2004年の本はサブプライムの気配もない時に書かれたものだが、2007年から2008年にかけてのアメリカの不動産危機、ファニーメイ・フレディマックの不良債権危機、それによる円高(100円くらいまでと見込む)、ユーロドルの高騰、そして2010年をピークに円高が終わり、その後長期のドル高・円安期となる、2010年からは、ユーロや円を売ってドルを買うべきだ、などなどを予測している。ピンポイントの時期(2011年が大底だった)や価格(ドル円の底は後に74円と改訂された)は、たしかに当たっていないところはあるが、大局を捉えていることにかけては、神がかりと言って差し支えないだろう。
 
今の目で、特に注目されるのは、2005年から2007年にかけての円安期の分析で、それ以前の円高期の国内機関投資家の外債投資の外貨のヘッジ売りが巻き戻されるために、円安が始まると急激に円売りが開始されるというメカニズムの説明だ(77ページ)。

そして、2010年以降の相場の予測は今読んでも意味があるものだ。最後にそれを引用しておこう(210ページ)。

「そして、これがもう本当の、最後のドル買いチャンスになる。2010年以降、アメリカ帝国が復活するなか、本格的なドル高局面が到来する。この間、日本が財政赤字を削減するため、本格的なインフレ政策を取れば、物価がどんどん上昇するため、さらに円が売り込まれることになる。1ドル=360円への復帰と考えても差し支えないだろう。」

今後も氏の予測は、重要な資料として、ずっと参考にしていくつもりだ。氏は2013年にもう一度、米国発(旧著)あるいは欧州発(新著)の大きな下げがあるとも述べている。今後の波動をしっかりと押さえた上で、確実なトレードをしていきたいものだ。なお、前にも書いたが、彼の日柄や価格をそのまま信じてトレードするととんでもないことになる。しばしば、後の著書で訂正されることもあるものだ。頭に入れた上で流れを自分で解釈するのでないと危険である。どんな場合でもそうだが、彼の場合、自信たっぷりに記述されているので、ついつい引き込まれるので注意したい。

なお、氏の最新刊は下のものだ。これは出版時にここでご紹介したが、再掲しておく。さらに下は、氏の円安予測記事の掲載雑誌。2014年にドル円140円、円安パニックを予測。

デフレの終わり 2012年に「千載一遇」の買い場がくる
日本実業出版社


エコノミスト 2012年 3/20号 [雑誌]
毎日新聞社



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