ドルストレートペア(どちらか片側が米ドルのペア。たとえばユーロドルやポンドドル)ではなく、二つのドルストレートペアを交差(クロス=かけ算)させるタイプの通貨ペアがある。ドル円とユーロドルをクロスさせると、ユーロ円、ユーロドルとポンドドルをクロスさせると、ユーロポンド。これらのクロス通貨は、一般に値動きが複雑で大きく、FXでは本来扱いにくい通貨である。円クロスにしても、ユーロクロスにしても扱いにくさは同じだ。
しかし、日本では、ドル円がらみの円クロスのペアは当然のことながらFX取引の中心となる。いわゆるクロス円である。ユーロ円、豪ドル円、ポンド円など、ドル円よりも動きが大きいので好んでトレードされるものである。
これらはファンダメンタルから言えば、たとえば、ポンド円レートが英国と日本との貿易に使われることもあるわけではあるが、実際には、日英の貿易高や収支などが、ダイレクトにポンド円相場に響くわけではなく、現実には、ドル円とポンドドルの動きの合成によってポンド円相場が成り立っている。だから、ポンド円のテクニカルといったものは、いわば、バーチャル(仮想的)なものの分析である。ユーロ円の取引はかなり多いものの、他のクロス円も基本は、同じである。
そのせいか何なのか、私は、豪ドル円のトレードをするときでもあまり豪ドル円のチャートは見ないことにしている。もちろんたまにMT4で概要を見ることはあるが、日々のトレードはドル円と豪ドルドルのレートを見ながらトレードすることが多い。頭のなかでそれぞれの動きを予測、合成していくわけだ。
これはおそらく理屈にあっているはずだ。クロス円の動きは明白に二種類のものの合成なのだから、それをダイレクトに分析することは難しく、合成する前のものを分析してから、それを合わせるほうがよくわかるはずだ。料理で考えてみるとわかるが、三杯酢を渡されてこれが何からできているかを分析するより、混ぜる前の醤油・酢・砂糖(みりん)を渡されて分析する方がやりやすいのは明らかだ。
もちろんクロス円をダイレクトに分析しても悪いわけではない。どうせ、ドル円でも複雑な要因の合成であるから、それがもう一段複雑になろうとも大差はないということではあるからだ。だからこれはあくまで好みだが、自分としては、上のような理屈で、バラバラに分析するのを好むし、その方が勝率がいい。もちろん、自分はそうでないという人がいることを拒むものではない。
以上、週末の随想である。
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