goo

清越坊の女たち~当家主母⑤

 

沈翠喜の改革は汚職役人に当然、憎まれリンチにあってしまいます。義弟との男女関係を疑われ、夫殺しの罪を着せられ、公開処刑になる寸前でした。翠喜の冤罪を訴える大勢の人々。息子の秀山も逃げずに母の最期を見届けるために処刑場へ。緊迫感!危機一髪!

 しかしあっと驚くような展開で釈放される沈翠喜。

 悪の限りを尽くした役人文曹彬と李照は失脚。流刑。かわいそうなのは文曹彬の娘、幺娘です。ずっと輿の上でのお姫様生活。床や地面に足をつけたことはありません。幺娘は行院へ送られます。(売春館)

 自由に生きる道を選んだ翠喜は任家から独立。翠喜に奉公した任小蘭(じんしょうらん)を連れて錦渓坊(きんけいぼう)という工房を開きます。

 蔑視される女性のために自分の技術を教える、その行為は男性優位社会に石を投げて波紋を生じさせる出来事になりました。

 沈翠喜の右腕、舒芳は、賭博で借金まみれの兄に今でも金をせびられています。

 翠喜の付き人で嫁入りさせた巧児は2人の女児を産んでいました。体が弱いので出産は危ないのに、跡取り息子を望む婚家の意を受けてまた懐妊していました。娘二人を残して出産で亡くなってしまいます。

 小さい頃母親に連れられて翠喜に奉公した小蘭。その家は日常的に父親が母親に暴力を振るう家庭。

 ライバルだった曾宝琴も父親の失脚で行院に送られた女性です。

 幺嬢も行院へ。

 女性たちの涙の数ほどある悲しい物語は後を絶ちません。

 緙絲(こくし)の第一人者翠喜。手に職をつければ女性も自立できる。工房を開いて弟子を募ることにしました。錦渓坊の開店当日。ある少女が入門したいと翠喜に訴えてきました。しかし、少女を連れ戻しに来た母親は、「女が稼ぐのは恥だ」と翠喜を痛烈に批判するのでした。

 古い風習のままの社会は、立ち向かったり歯向かったりする女性は卑しいとされます。

 さらに誰でも入門可能とする条件に任家の3長老が激しく反発。翠喜の技の流出を防ぐために、弟子は任家の者のみにしろと迫るのでした。

 翠喜と行動をともにした任小蘭の父親も嫌がらせにやってきます。

 かつての夫雪堂の助けもありますが、それらの妨害を一つずつ解決していく沈翠喜の威風堂々とした姿は清々しささえも感じられます

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )