無意識日記
宇多田光 word:i_
 



『カプくーま』、ヒカル本人が乗り出して監修しただけあって、本当によく出来ている。誰のカップにも"あの"くまが浮いている。微妙な表情の差にもこだわったであろう事が窺える。

ロックバンドにはマスコットはつきものだが、女性ソロ・シンガーソングライターでこうやって象徴的なキャラクターが定着するのは珍しくないか? せいぜい、シンボル・マークを統一するとかまでじゃないかと。

元来、音楽グループにマスコットが居るのは、グループの"顔役"を誰か1人決めなければいけないからだ。ボンジョヴィのようにリーダーが誰で顔役が誰かが誰が見ても明らか(ジョン・ボンジョヴィその人ですわな)な場合はマスコットなんぞ要らぬが、関係性が"民主的"だったり、グループの魅力が個々のメンバーより音楽性だったりした場合、アイコンとしてマスコットが定まっていると便利なのだ。ジャケットのアートワークにも登場させられるし。

日本で『宇多田ヒカル』といえばそれだけでアイコンである。なぜなら、アルバムのジャケットが毎回本人のドアップだからだ。この顔以上の目印はない。

しかし、その上で『くま』は活躍している。まずは3005gのぬいぐるみのくまちゃんに、その着ぐるみであるギガント、更に絵本に登場したくまちゃんとぬりえコンテストのくまちゃん(今回のカプくーまのデザイン元はこちら)、更にはおむつじゃないもんスーパークマンズと、バリエーションも豊かだ。人によっては『ぼくはくま』のまくまくんまで入れたいかもしれない。自由である。

これの何がいいって、ツアーで販売されるグッズがくまブランドで統一できる事だ。既にその威力は『WILD LIFE』で炸裂していたが、一ヶ所2回の公演では全国に浸透したとは言い難い。次の全国ツアーでは是非ともくまだらけくままみれなツアーグッズを満載にして欲しい。前回の全国ツアー『UTADA UNITED 2006』の時はまだくまちゃんは登場したばかりで『ぼくはくま』もリリースされていなかった。というかツアー終了後第1弾が『ぼくはくま』だったのだ。そういう順番だった。

前回も書いたように、『カプくーまの型抜き』を販売したら飛ぶように売れると思う。耐熱なら応用も利くしキャラ弁に悩むお母さんも使い勝手があるかもわからない。勿論、販売を控えてコラボカフェの継続的な目玉にする方向もありである。くまは、ヒカルファンからは想像以上に愛されている。なぜなら、くまを思い浮かべると必ず楽しそうなヒカルの顔も伴うからだ。この随伴記憶の威力はデカい。ツアーともなればヒカルだって常に笑顔でいられるとは限らないがくまちゃんはいつでも笑顔だ。これを逃す手はない。

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コラボカフェが一ヶ所だけというのは非関東居住民からすれば残念極まりないが、今の時代すぐにレポートが写真つきで…いや、写真がレポートつきでアップロードされてくる。今やコラボの効果は、実際の来店よりもSNSでの拡散に重点がおかれている。

その点、『カプくーま』は優秀である。シンプルにタイムラインにくまを表示させ続ける。これによって皆の関心が徐々にヒカルに集まり始める訳だ。とてもよく出来ている。

なお、ヒカルが直接監修したらしいこの『カプくーま』、実物は抜かれた型をカプチーノの表面に被せてチョコだかコーヒーだかのパウダーをふりかけて作る為、品質は常に一定である。この『型』を商品化して売ったらお値段によっては馬鹿売れするだろうがあるとしても先の話になるだろう。グッズとして極めて優秀なのは間違いない。

こうやって発売前の"雰囲気"を醸造するのが事前プロモーションの醍醐味である。いつのまにか、新曲と出会う気分に整えられていく。力まず、(今回の場合は)直接手を下さず、徐々に宇多田ヒカルの話題が増えてきたなと思わせたところで新曲の発売と映画の公開だ。どこまで狙い通りかはわからないが見事に奏功している。

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