無意識日記
宇多田光 word:i_
 




みつやんちに面白いことが書いてあった。
こちら
http://utadanote.jugem.jp/?eid=647

要約すると、
「宇多田ヒカルは48回コーラスをオーバーダビングする」
三宅さんが言っていた、と講演された方が語ってくれた、ということらしい。

三宅さんが「コーラスの鬼」であることは、
再三ヒカルが触れてきていることではあるが、
こうやって具体的に数字を出されると、いやはや凄いもんだね。

ヒカルの曲のコーラスは確かに分厚いが、
声部の数となるとフツーに考えれば
ソプラノ、テノール、アルト、バスの4声がせいぜいだから、
各声部に12トラックずつ、みたいな感じだろうか。
或いは、2声の和音をオクターヴで録音しても4声×12トラック、
3声の和音をオクターヴで録音すると6声×8トラックとなる。

同じ高さ、同じメロディのものを8トラックも12トラックも
録音してどうなるか、というと、オーケストラや合唱団を思い浮かべればよい。
一つのパートを何人もの人間が演奏・歌唱することによって、
第一は音量が大きくなる、というのがあるが、それとともに、
音源が複数個あることによって、サウンド全体に奥行きと広がりができる。
要するに立体感が違ってくるのである。
48トラック録音によるヴォーカルは、
つまり48人の合唱の迫力が出せるという利点があるわけだ。

しかし、普通の合唱と違うのは、
コーラスを形作る人間の声色が宇多田ヒカル一色のみであるということだ。
これは、実際にライヴでは聴けない独特のサウンドになる。
現実で考えても、せいぜい双子や三つ子の声楽家のコンビ・トリオなんかが
美しいハーモニーを奏でる程度でとどまるだろう。
おそ松くんもびっくりの48ッ子の宇多田ヒカルによる合唱。なんだか怖い。


さて、他のアーティストたちは、どれくらいヴォーカル・コーラスを
オーバーダビングするのだろうか。戯れにちょっと検索してみた。


山下達郎は、96トラックの殆どをボーカル・ダビングに費やす、という記述があった。
http://music.2ch.net/musice/kako/1005/10056/1005647895.html
(上記URLの68番)
2ちゃんねるの一レスなので、真偽の検証もしづらいが、
彼のハーモニーの分厚さを考えると、有り得るかもしれないと思えてくる。

ヒカルの「トレビアン・ボヘミアン」や「ボヘミアン・サマー」でお馴染み、
QUEENの“ボヘミアン・ラプソディ”は180人分のコーラスが
重ねられている、と複数箇所で記述があった。
当時(1974年ごろ)はマルチトラックレコーディングといっても
16トラックか、せいぜい32トラックしかなかったんじゃないかなぁ(憶測)。
とすると、180人分ということは、8~10トラック分を一旦ミキシングして、
それでできた各トラックをもう一度ミキシングして最終的な2トラックに落とす、
という気の遠くなるような作業をした、ということになる。

そのQUEENの“ボヘミアン・ラプソディ”を収録した「オペラ座の夜」と
同じタイトルのアルバムをBLIND GUARDIANが作っているが、
彼らは当時、ProToolsを3台併用して96トラックをフル活用し
コーラス・ハーモニーを完成させた、とインタビューで答えていた。
いうだけあって、それはそれは分厚くスケールの大きいサウンドになっている。

QUEENとBLIND GUARDIANに関しては、声部の数そのものが
最初っから尋常ではないため、96トラックだの180人分だのという数も
わからなくはない。例えば6声をオクターヴで録音し、
左右に配置するだけで6×2×2で24声必要。
1声につき4トラック録音すれば96トラックである。

ヒカルの場合、たったひとりで48トラック。贅沢なもんだ。
レコーディングの手間(これはヒカルの労力)もさることながら、
ミキシングの手間は恐ろしいことになるよね。(こちらは三宅さんだろうか誰だろうか)


いずれにせよ、繰り返すが貴重な情報をどうもありがとさん。> みつや:


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