ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

一献一品出合い酒@稚内

2014年10月01日 | ◆一献一品出合い酒
稚内の繁華街・仲通りにある居酒屋「ふる里」にて、北の誉×イカの沖漬け。長い長い北の旅の最後をかみしめるなら、北海道といえばの定番酒肴同志をあえてぶつけてみての、このコンビが似合う。

帯広、札幌、稚内とぐるり巡り、まだ食べていないかのローカル魚介に表敬せねば、旅の終盤が締まらない。丸ごと一尾の沖漬けは、シャリッヒヤッと凍った歯ごたえ。口に放った途端に解凍、シコシコ弾む身のイキに、甘くまろやかなワタがもったり絡みつく。旨味が舌から消えぬ間に、北の冷酒でキュッと詰めて。米甘くシズル感ある膨らみが、氷結イカを解き放ち泳がせるかのごとし。まだまだ食べたし、まだ飲みたし。気持ちと舌を、さらに北へと向かわせんとする一期一会。

酔いが深まり夜も深まり、寒さもいっそう染み入る街。漂泊の末たどり着いたとっぱずれの地で、最後のひとり夜に深く浸れば、明日をも過ぎてまだ旅心募る、名残惜しやの北の酒。一献一品の小さな酒宴、ひたひた天下泰平なり。