ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカル魚でとれたてごはん…「休暇村近江八幡」の、琵琶湖の湖魚料理

2014年08月29日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん
名神高速の彦根インターから湖岸道路へ出ると、湖中央部の締まったあたりの湖風景が展開する。閉鎖的な眺めに感じるのは、対岸に張り出す高島町付近の低い山並みのせいだろうか。大道川を渡ると細い道が湖岸の林の中へ入り、パッと開けたと思ったら小さな港に出た。レジャーボートに小さな漁船が数々停泊する様は、海辺にある漁港と変わらない様相である。

島があり、人が住み、漁が営まれ。日本一の広さの湖・琵琶湖は、いわば陸の内海である。宮が浜に位置する「休暇村近江八幡」の正面に浮かぶ沖島は現在350人ほどの人が住む湖内の島で、湖魚の漁と佃煮への加工が主産業となっている。道中で見かけた港は、島の住民が陸側へ行く際の自家用船の停泊場であり、湖魚の水揚げ場でもあるという。宿の方に主な漁獲を尋ねたところ、「コアユです」との返事。

字面を小鮎と浮かべつつ、夕食のバイキングに臨んだところ、天ぷらが一品料理で用意されていた。琵琶湖のアユは海へ回遊しないため、10センチほどの小振りにしかならないそう。だから頭も骨も柔らかく、丸ごと一口でいくとワタのほろ苦さが程よいこと。うるかほどの主張がない適度な推しのおかげで、二匹三匹と勢いが止まらない。コアユの旬は冬場で、夜中に出漁して刺し網で捕らえ早朝に先ほどの堀切港で水揚げされるという。「湖鮎」と字を当てることもあるから、まさに琵琶湖のローカル魚である。

バイキングの湖魚の料理はもうひとつ、ほのピンクのつくりがある。ビワマスはその名の通り、琵琶湖でしか漁獲されない固有種だ。スモークサーモンのようなのをツルリといくと、ギンサケやベニザケのようなバタ臭さがなく、身が柔軟かつ質実剛健な旨味。海洋や北洋のサケと異なる湖封印ならではのストレートな淡水魚旨さはまさに、ザ・ニッポントラウトといったところか。マスゴイトと呼ばれる大型の刺し網で漁獲され、旬の夏には脂がのって味がさらに良いそうである。

琵琶湖ではこれらのほか、鮒鮨でおなじみのニゴロブナや、ハス、ホンモロコ、イサザ、ウロリ、スジエビが「びわこ八珍」と名付けられブランド化されている。小魚が中心なので佃煮が代表的で、朝食には地元の老舗「山甚水産」加工の品々が卓を賑わした。ウロリはゴリの一種である琵琶湖の固有種で、シラスのように小さいので目の細かい曳網で漁獲される。稚魚の醤油炊きは繊細ながら甘い味付けに負けず、白身の力強さがなかなか強靭だ。

スジエビは川エビのことで、延縄式の籠「エビタツベ」で漁獲される、琵琶湖の湖魚の中でも漁獲量が多い種である。大豆と甘辛く煮たエビ豆が代表的で、豆のホクホクな甘みに小エビの甲殻類強さが負けず、厚みのある珍味だ。ふっくら肉厚でほんのり土の香りがする、瀬田シジミの佃煮も一緒に近江米の粥にちりばめれば、まさに茶碗の中に広がる小琵琶湖。生息海域も深度も季節も一緒くたに、ザクザクかっ込んでしまう。

食堂の大きな窓の向こうには、沖島と堀切港を小船や漁船が何度も行き交っている。琵琶湖の営みを感じる風景を眺め、琵琶湖の恵みをおかずに味わい。湖国の息吹を五感に感じながら、近江路の旅の朝が始まっていく。

SMILEY NEPTUNEの国産和牛のコース@神戸・六甲

2014年08月29日 | 旅で出会った食メモ

夏の休暇の旅の二泊目は、神戸は六甲アイランドにあるホテルプラザ神戸。琵琶湖クエストで疲れ果てたので、晩御飯はホテル18階のフレンチレストラン「SMILEY NEPTUNE」にて、100万ドルの夜景を見ながらのコースを楽しんだ。

近江牛に続いての日本三大和牛トライも考えたが、予算と胃疲れの都合で国産牛がメインのコースに。ところどころで当地の素材も生かされていて、合鴨のミルフィーユは泉州のローカルベジタの水ナスを織り込み。純でスカッとしたシズル感が夏の前菜らしくていい。ペペロンチーノは梅肉仕立てで、アナゴと焼きナスがまた、和テイスト。ステーキは子牛の淡い軽さが、前夜の近江牛尽くしに押された胃袋にフィットする。

窓からはポートタワーやハーバーランドの、きらびやかな夜景が煌めいて見える。さて最終日の明日は、どこを攻めるかな?