ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

日々是好食…おでんの幸せ

2013年03月09日 | ◆日々是好食

「夕べのおかずの残り」と聞いても、今ひとつ食欲が高まらないが、これが煮込み料理だと俄然、魅力が出てくる。夕べの残りのカレー、昨晩残ったすき焼き。しんしんと冷え込む夜に、人知れずその実力をじっくり蓄えて、翌朝さらなる深みの境地へと変貌する。まさに煮込み料理は人生の縮図、と朝っぱらから残りごはんを前に、殊勝に思い入ってみたりして。

 豪雪だった昨日は、アツアツのおでんが嬉しい晩御飯だった。雪のせいで買い出しができず、練り物は薩摩揚げのみしかないので、生揚げに白滝に鶏つみれの力を借り、大根とジャガイモをやや多めに。煮込み一時間でも結構味が染みたが、翌朝は醤油とカツオベースの濃いめの汁で薄褐色になり、一層バージョンアップ。豪雪一過の晴れの朝ごはんに、つい朝から一杯欲しくなる魅力だ。

 老舗のおでん屋では、ネタによっては数日煮込むものもあるらしく、火を止め冷まして寝かすのも、味を染みさせる秘訣とか。昨夜の雪冷えのおかげで、極上の残りごはんをいただいたはいいが、食後は朝から一杯ならぬ仕事前の雪かき労働が待つ。美味と苦行は表裏一体、やはり煮込み料理は人生の縮図なんだろうか。