ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

町で見つけたオモシロごはんbyFb…横浜・みなとみらい 『土古里』の、盛岡風辛冷麺

2012年08月09日 | ◆町で見つけたオモシロごはん

  以前、盛岡で冷麺を味わった際、店の人に「盛岡の冷麺は本場から変化した独自のスタイル」と聞いたことがある。透明な太麺にあっさり牛骨スープ、キムチをのせていただくという、日本人が一般的に持つ冷麺の印象は、この盛岡冷麺によるものだ。

 もちろん、盛岡冷麺も原型は朝鮮から伝播したもので、渡来した人が伝えた咸興(ハムフン)の冷麺が変化した「平壌冷麺」が起源である。これは牛肉と鶏肉からとり水キムチを加えたスープ、そば粉入りの茶色っぽい縮れ麺で、今もソウルなど韓国の食堂では普通に供されている、まさに本場のスタイル。味も見た目も現在の盛岡冷麺とは異なるけれど、盛岡冷麺はここから地元の常食へと定着する過程で、当地に合った形に変化していったのだろう。

 冷麺といえばやや前は、焼肉屋で肉を食べた締めのサイドオーダー的に捉えられていたが、韓流ブームで韓国の食文化が日本に広まったおかげで、いち韓国料理のポジションを築いている。ひとかどの韓国料理屋では、この本場流そば粉冷麺も見かけるようになり、今日訪れたみなとみらい・コレットマーレの韓国料理店「土古里」でも、冷麺をオーダーする際にはそば粉とサツマイモの細麺か、盛岡流の小麦粉と片栗粉の太麺を選べる仕組みになっていた。

 品書きから強烈な辛さが売りの「辛冷麺」を注文、麺は腰のある方が好きなので盛岡冷麺の太麺を選んだ。添えてある辛味噌をのせ、ざっと混ぜて麺をズッとすすると、酸味の効いたスープが太麺にしっかりからみ、後から味噌ダレの激烈な辛みがビリリ。麺の弾力はかなりしっかりしていて、グングンかみしめてやっとかみきれるほど。かみしめると出てくる小麦粉麺らしい荒っぽい穀物甘さが、うどんやラーメンと違った北国の麺らしいワイルドさか。

 盛岡冷麺の麺は、うどんやそばのように生地をのばして切って作るのではなく、パスタのように生地を穴からギュッと押し出して作る。押されることで生地が詰み、強烈な腰が生まれるという。具がキュウリとワカメ、キムチだけのシンプルな冷麺なため、麺の味というか歯ごたえをよりいっそう楽しめる。

 ちなみにこの店、山形牛の焼肉も売りのひとつで、麺メニューにも山形名物の氷がゴロゴロ入った冷やしラーメンや、地鶏がのった肉そばがちゃんと載っていた。この山形独自のローカル冷やし麺は、よそでは類例を見ないスタイルで、本場冷麺と盛岡冷麺をともに扱っている以上に貴重なメニューかも。


施餓鬼とヒロシマ

2012年08月06日 | てくてくさんぽ・取材紀行
今日は67回目の広島・原爆の日である。自分の両親も広島県出身だが、広島市からは東に90キロほど離れた芸予諸島。だから直接の被害はなかったからか、両親からも祖父母からも原爆にまつわる話は、あまり聞いたことがない。

思えば自分が小学校の頃は、原爆の悲劇を学校教育で積極的に伝えていて、夏休みには自由研究や作文の課題に必ず出た覚えがある。広島市街の原爆被害マップをつくったり、区の公会堂で「はだしのゲン」を見て感想文を書いたり。とは言え67年という数字が重くなるにつれ、関係者が減っていき伝承が希薄になることも、また現実。旅の仕事の中でも、できることを考えていかないと。

そんな今日は父の新盆の関係で、横浜の実家そばの寺の盂蘭盆会と施餓鬼会に列席した。新盆の飾り物と餓鬼に施す米を収め、法要前に広間でちらし寿司などをご馳走になった。シイタケ、油揚げ、カンピョウが甘くホッとする味付けで、小鉢と汁椀のミョウガが蒸し暑い中で舌に鮮烈。小鉢の酢の物はキュウリと麩、すまし汁も昆布だしなのは精進料理だからだろうか。

ちなみに施餓鬼とは「六道輪廻の世界にある凡夫の中でも、死後に特に餓鬼道に堕ちた衆生のために食べ物を布施し、その霊を供養する儀礼を指す」とwikiにあるが、広義には無縁仏に対しても施し、供養する意味もあるという。原爆の日に重なったのも御縁、名もなき犠牲者のことも心に留めつつ、真摯に参加しよう。

幕張メッセ 恐竜王国2012

2012年08月06日 | てくてくさんぽ・取材紀行
ここ数年夏休みになると、恐竜の企画展が都内の博物館や大規模展示場で開催される。地元のパシフィコ横浜でも、福井県立恐竜博物館の所蔵品を展示した恐竜展が開催。福井県立恐竜博物館は、日本有数の恐竜発掘現場に近い勝山にあり、展示の中には発掘現場をそのまま移設展示したという、えらいスケールのものもあるとか。

そんな地元の恐竜展も気になるが、今日訪れたのは千葉は幕張メッセの「恐竜王国2012」。定員を絞った18時からのナイトミュージアムで、ゆっくり見物できた。自分達の世代で恐竜というと、爬虫類っぽい質感がイメージだが、最近の説では恐竜にも毛や羽根が生えていたとされている。

なので展示も首長竜や直立恐竜、翼竜の大スケールの骨格標本ほか、毛並みフサフサの生体復元モデルが興味深い。色もマリンブルーやオレンジ、緋色とあでやかだ。さらに展示の目玉は、中国遼東省で出土した、毛つきTレックスの実物平面全身骨格である。

ユティランヌスというこの恐竜、体長9メートル、重さ600キロ。生体復元モデルで見るとまさに哺乳類の見事な毛並みで、中型なのもあり愛玩動物にも見えるほど。獰猛なTレックスに、何だか親しみが湧いてしまう。

ちなみに恐竜につく「ザウルス」とは、トカゲの意味だそうだ。恐竜に体毛があるのが主流になってくると、この呼び名も危ういかも。でも我々父親世代は、やはりあの爬虫類感こそが童心に刻まれた恐竜なんだが…。