その名に「海」を冠するだけあり、件のネズミのテーマパークに隣接する、ちょっと大人向けの夢の国は、海をモチーフにしたアトラクションが多い。ショーが展開されるメインのハーバーを中心に、アラビアンテイストな海岸、冒険の舞台である河口域、未来をテーマにした港など、どのゾーンも入った瞬間にその世界観の中へ飛び込めるは、さすが日本一のテーマパークである。
そんな夢の国にいながら、海といえばお魚、お魚といえばローカル魚、と、自身の守備範囲の視点がつい、働いてしまう。サンゴ礁エリアでショーを見ていても、キャラ名より魚種名で見てしまうのが性分のよう。人魚姫が親友のキダイと執事のジャマイカ種のカニと語らい、マコンブとアカヒメジュズヒトデが踊り祝福する中、魔女のしもべのクロシビカマスとミズタコがおどろどろしくやってきて… と、何ともファンタジー感がない表記だこと。
ミズクラゲのフードにヒオウギガイのシートの遊覧ライドに乗ったら、アーリーアメリカン調のベイエリアへ向かい、豪華客船S.S.コロンビア号でのディナーをチョイスした。客船といってもアトラクションのひとつで、半分が湾に迫り出し、半分は陸に据えられている。『S.S.コロンビア・ダイニングルーム』はBデッキにあり、ローストビーフや伊勢海老のグリルなど、いかにもアメリカンテイストのコース料理が揃う。
「本日の魚料理」のディッシュをメインにしたコースを選び、素材を尋ねるとマダイのグリルとのこと。厚くしっとりした白身に、バルサミコとラディッシュのソースが甘さほどほどにからんだ、上品なひと皿。カリフォルニアワインのロバート・モンテヴィが爽快にフルーティーで、マダイとの相性もいい。そしてメインに肉薄する印象だったのが、クラムチャウダースープ。アサリの量が半端ではない上、スープのダシガラではない丸々とした身が滋味あふれて、実にうまい。
クラムチャウダーはニューイングランド州が発祥だそうで、アメリカ東海岸の港町に根付いたローカル魚料理といえる。ところでアサリといえば、江戸前物も数は少ないながら頑張っていると聞く。先ほどパーク最奥の湾から堤防を隔てて、リアル東京湾が見えたような… ってなことは思い返さず、夢の国のローカルシーフード料理に素直に舌鼓を打つとするか?
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