有楽町駅銀座口を出てすぐの、細長い逆三角形をした店舗密集地区は、華やかな銀座の玄関口にしては少々不思議なたたずまいだ。改札を出たところには露店の靴磨きが並んでいたり、店頭にバナナやみかんを並べて売る果物屋があったり。戦後の混乱期に形成された一角のため地権者が錯綜していて再開発が難しく、目の前のイトシアに隣接して昭和レトロの町並みが残る空間となっている。
その一角にある中華食堂『中園亭』は、大書された看板の文字から店名を「ちゅうごくてい」と読んでしまいそうだが、正しくは「ちゅうえんてい」。ガラス扉を押して中に入ると、白い木のテーブルにパイプ足の赤ビニールイスが数卓並び、レジ横のおばちゃんはいらっしゃいませ、もなくそっけない。壁一面には、赤い台紙に料理の写真を貼り付けたメニューがびっしり掲げられ、飯物は10種異常、麺類だけでなんと40種。愛想はないけれど、料理の方は本場仕込みの品ぞろえだ。
中華丼、五目あんかけ丼、什景湯麺(五目そば)、蝦仁湯麺(えびそば)、麻婆湯麺(マーボーめん)など、これまで頼んだ各種メニューを思い出しながら、惜別の一品は麻婆丼に。豆板醤がしっかり効いた、辛さがとがった系の麻婆豆腐が、水分多めのご飯を包み込んであんかけ系の濃厚な味わいが楽しめる。豆腐とひき肉が多めなのも、食べ応えがある。
仕事場が銀座から移ってしまい、遅い昼ご飯に足を運んでいたのがすっかりご無沙汰になってしまった。でも明け方4時までやっているから、銀座で飲んだ後の「締めご飯」をいただいたり、餃子などをつまみに始発まで飲み明かしたりと、「遅い飲み後の一軒」でお世話になることはありそうだ。
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