ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

旅で出会ったローカルごはん…おがさわら丸船内レストランの、フードいろいろ

2011年02月24日 | ◆旅で出会ったローカルごはん

   小笠原諸島は、現在東京から最も行くのに時間を要する国内の旅行先ではないだろうか。東京竹芝桟橋と父島二見港を結ぶ「おがさわら丸」に揺られること25時間半。島へはこれ以外に渡航手段はなく、旅程の往路復路をそれぞれ丸1日、船の中で過ごすことになる。今はやりのクルーズの旅、船でゆったり過ごすのも旅の魅力のひとつ、としゃれてみたいところだが、おがさわら丸はまあ普通の旅客定期船で、飛鳥やにっぽん丸を豪華リゾートホテルとすると、ビジネスホテルとシティホテルの間ぐらいの居住性ぐらいだろうか。

 渡航がこれで2回目ともなれば、竹芝で乗船手続きを済ませて10時に出港し、レインボーブリッジをくぐって東京湾へ出るあたりまでは、もうそれほどハイテンションでキョロキョロそわそわすることもない。2等の座敷席で毛布を広げ、枕の周りの手の届くところに飲み物や菓子や雑誌類を並べて、1日過ごす「巣作り」を済ませてひと眠りした頃には、船は久里浜沖から東京湾外へ。甲板へ出てう~んとひと伸びしたらようやく、絶海の孤島への旅の実感がわいてきた気がする。にしても、竹芝に近い地下鉄大門駅から久里浜までは電車で1時間弱なのに、船は3時間近くかかっているのだから、時間の流れが次第に「島時間」のゆるやかな様相を呈してきている。

   リラックスしたと同時にお腹のほうも、グッと空いてきた気がして、時計を見るとちょうどお昼時。空腹のほうは島時間とは関係なく遠慮なしで、航海中に3~4回はお世話になりそうな船内レストランに、あいさつがわりに初回の利用といきたい。レストランは売店や案内所と同じデッキにあり、カフェテリア方式のため入口で食べたい物を決め、トレイを持参して種別の窓口でオーダーカードを出す仕組み。定食に麺類、単品料理、デザート、さらに船内で焼いている焼きたてパンなんてのも揃えており、意外と本格的である。

 せっかくなので船オリジナルや小笠原ゆかりの料理を探してみると、小笠原の島で製塩した塩を使った料理がある。島塩ラーメンは前回の往路のお昼に頂いたので、同じ島塩牛サーロインステーキというのに興味がひかれるが、肉は特に小笠原に所以がある牛ではないようなのでスルー。小笠原は牛や豚の飼育は行われておらず、もともと孤島のため耕作面積に限りがあり、貴重な穀類を家畜の飼料にする余裕がなかった、という話を聞いたことがある。

  そこで、船オリジナルメニューらしいネーミングの、おが丸風キーマカツカレーにしてみることに。野菜不足を補うため、小鉢でゴボウの煮つけもとり、さらに出発の一杯とばかり、ギネスビールの瓶もピックアップ。レジで会計を済ませたら、揺れによる転倒防止のためチェーンで固定された椅子席へとついて、ギネスをグイッ。ややピリッと辛めのルーのキーマカレーが、適度にビールのアテになり、出発の宴としてはまずまずの滑り出しだろう。「おが丸風」とあるからには、何かオリジナリティがあるのかと思ったが、味を見た限りではココイチやCCぐらいには匹敵するレベルだが、際立った特徴はないような気も。

 この日の航海は波高最大3メートル程度とほとんど揺れがなかったので、夕食もまたレストランを利用してみた。単品で肴になるものも豊富だったので、今度はポテトフライにキノコベーコン炒め、おでんにさつまあげを揃え、コロナビールが空になったら新潟は佐渡の地酒「北雪」の冷酒にも手を出して。にっぽん丸や飛鳥がバーやパブなのなら、こちらは和民か土間土間のノリで酌を重ねていく。ああ庶民派船旅バンザイな、まだ島に着く前の島旅の良さを満喫した、上陸前夜の宴のひとときである。

   と、島時間にのってゆるやかに飲んでいたら、船上居酒屋はオーダーストップの早いこと。ついうっかりご飯ものを頼むタイミングを逸し、締めご飯は座敷席にて念のため持ち込んだカップめんに


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